2025年1月号記事
第7回
釈量子の宗教立国への道
幸福実現党党首が、大川隆法・党総裁による「新・日本国憲法 試案」の論点を紹介する。
幸福実現党 党首
釈 量子
(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/
非効率・乱れを生む議院内閣制より大統領制へ
第三条
新・日本国憲法 試案〔第三条〕
行政は、国民投票による
大統領制により執行される。
大統領の選出法及び任期は、
法律によってこれを定める。
「新・日本国憲法 試案」は〔第三条〕からいよいよ「統治機構」に関する条文に入ります。
統治機構とは、国家を統治する仕組みのことで、近代以降、各国は立法権(国会)、行政権(内閣)、司法権(裁判所)がバランスを取る「三権分立」を基本原則として制度を組み立ててきました。〔第三条〕が示す「大統領制」導入は、わが国における三権のバランスの歪みを修正し、政治を根底から変える大胆な提言です。
現行憲法では「国会は、国権の最高機関」とされています。これは単なる「政治的美称」に過ぎないという学説もありますが、現実に「立法府」である国会が、「行政府の長」である内閣総理大臣の足を過度に引っ張っており、これが多くの弊害を生んでいます。
国政の非効率と乱れの根源は「議院内閣制」
大川総裁は「今の国政の乱れや行政効率の悪さの根源は、どこにあるかと考えると、その根本にあるのは議院内閣制だと思います」と説かれています(*1)。
わが国では、議会で最大多数を占めた党でなければ総理大臣を選出できません。そのため、「立法者」であるべき国会議員が、本来、勉強もしなければならないにもかかわらず、選挙で勝つことが第一目的となり、票集めにかかりきりです。
一方、「行政の長」も、国会における多数派工作のための派閥抗争に振り回されて、何も決められなくなっています。
さらにその首相には、真に日本の行政を導く資質のある人よりも、派閥のボス的な人や権謀術数に優れた人、あるいは「選挙の顔」に使える人ばかりが選ばれています。
「議院内閣制」のなかで日本の各機構が充分に機能しておらず、かなりの「非効率」が生まれているのです。
自民党は裏金問題を機に、「政治不信の払拭を図る」として「派閥解消」をしました。しかし今回の総裁選では、各政治家が元派閥の領袖の顔色を窺いながら動く、さらに複雑なパワーゲームが繰り広げられました。国民のあずかり知らないところで首相が決まる不信感は加速しており、これも「議院内閣制」が制度疲労を起こしている象徴です。
そもそも党派や派閥的グループが入り乱れて政争ばかりに明け暮れる姿は「非効率」以前に「徳の無さ」を感じさせます。大川総裁の著書『仏陀再誕』でも「今の日本という国の政治を見ていて、いちばん嘆かわしい点がここにある。諸党派相争い、自らの利害を主張し合う。これを民主主義と言う人もいるのであろうが、こうした政治が、決して仏の心にかなうとは、私は思わない」と嘆息するかのような指摘がなされています。こうした政治の「乱れ」が前面に出るかのような制度にも、国民は辟易しているのです。
(*1)大川隆法著『新・日本国憲法試案』(幸福の科学出版)
危機の時代には強い行政権が必要
立法と行政の"癒着"が混迷状態を招いている今、「民主主義の基本」に立ち返り、国民が行政の長を直接選ぶ「大統領制」を導入する──これが〔第三条〕の狙いです。
大川総裁は、「大統領制」にも「議院内閣制」にもそれぞれの長短があるとしています。しかし激動の時代に突入し、国のあらゆる制度が耐用年数を超え、国防上の危機にも立ち向かわなければならなくなる未来には、「強い権限を持った行政府が必要となる」というのが、大川総裁が天上界から降ろした未来国家のビジョンと言えます。
一方、大川総裁は「大統領制」の前提について、「民主主義には、『権利』だけではなく、『責任』の部分もある」とも強調しています(*2)。お笑い芸人を大統領に選んで戦争を始めてしまうウクライナのような国もありますが、直接投票となれば「どういう人を選んだか」による結果への責任が、よりシビアに自分たちに返ってきます。そこには一定の覚悟や見識も求められますが、一人ひとりが「公的幸福」のためによりよい選択をすることを学ぶ機会でもあるでしょう。
その国民の期待を受け、日本や世界に大きな影響力を持つスケールの大きな人材の活躍を可能とする可能性が、「大統領制」にはあるのです。