2025年1月号記事
ニッポンの新常識
軍事学入門 54
中国の核を想定しない日本はあまりに危険
世界の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」をお届けする。
淡江大学統合戦略・科学技術センター研究員
楊 太源
(よう・たいげん)淡江大学博士号取得。中国人民解放軍や国際関係などを専門とし、台湾国防大学陸軍指揮参謀学院主任教官などを務めた後、現在は台湾戦略研究学会監事や国立台南大学兼任教師も務めている。
これまで中国は、「先制不使用」「最小限抑止」という核戦略を掲げてきました。先制不使用とは、敵の核攻撃を受けない限り、核は使わないというものです。最小限抑止とは、核攻撃を受けたら、相手に第2撃(反撃)を加える能力を持つことで、敵の核攻撃を抑止するというものです。一般的に200発の核があれば1カ国を滅ぼせるため、中国は推定350発を保有していると言われてきました。