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ウクライナのゼレンスキー大統領が16日に発表した「勝利計画」に冷淡な評価が相次ぎ、ウクライナの苦境ぶりを露骨に示しました。
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ウクライナ議会で演説したゼレンスキー氏は、「戦争を終わらせるために国家に十分な強さをつけるためのものだ」と述べ、5項目からなる勝利計画を初めて公表しました。
主な内容は、(1)集団防衛の規定がある北大西洋条約機構(NATO)加盟に向けた無条件での招待、(2)ロシア領内への攻撃を続行、欧州の隣国によるロシアのミサイルなどを迎撃、米欧が供与する長射程兵器の使用制限の撤廃、(3)「核によらない抑止力」として、通常戦力による「包括的な抑止力」をウクライナ国内に展開、(4)ウクライナ国内の天然資源の開発に米欧などを関与させる、(5)ウクライナ軍が欧州に駐留する米軍の一部を代替する、というものです(公表できない付属文書もある)。
ゼレンスキー氏は、直ちに計画に着手すれば、遅くとも来年には戦争を終結させられる可能性があると述べ、あくまで「可能性」に言及するのにとどめました。
一方で、ウクライナ支援が不十分であることへの不満もぶちまけました。アメリカがイランのミサイルを迎撃するためにイスラエルに防空部隊を派遣したのに、ウクライナはなされていないと発言。これに対しバイデン米政権の当局者は、ウクライナで同じことをすれば、ロシアとの核戦争に発展しかねないと、16日付米ニュースサイト「ポリティコ」の取材で指摘しています。
日本のメディアは勝利計画についてできるだけ好意的に伝えようとしていますが、米欧では突き放した見方が続出しています。米紙ニューヨーク・タイムズもワシントン・ポストも、計画の内容にサプライズがなかったため、いずれも「西側諸国からの反応は冷淡だった」と報じました。
独ビルド紙のジュリアン・ロプケ記者は、「私が言葉を失ったのは、彼がこれらの点を提示しているということではなく、それらはすべて、西側の"パートナー"により、すでに実行が拒否されているということだ」とXに投稿し、一刀両断しています。
むしろ、「中身のない計画は停戦への準備行動ではないか」といぶかしむ声すら上がっています。元BBC記者のレオニード・ラゴジン氏は、「ゼレンスキーの勝利計画は、まったく非現実的なプランというか、西側の同盟国に対する最後通牒であり、恐らく、和平交渉と非常な痛みが伴う妥協の必然性を社会に備えさせるためにつくられたものだろう」とX上で論評しました。
9月にゼレンスキー氏から勝利計画の説明を受けたトランプ氏は、今月17日に公開されたポッドキャスト番組のインタビューで、「ゼレンスキー氏はロシアとの戦争を始めさせるべきではなかった。この戦争は負け戦だ」「自分が大統領だったら、あの戦争は決して起こらなかった」などと述べています。
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