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米ニューヨーク州が進めている洋上風力発電のプロジェクトについて、州が事業者に不当に高い費用を支払うことになる問題を、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がこのほど提起しています。

《詳細》

ニューヨーク州は今年6月、欧州のエネルギー大手であるエクイノール社とオーステッド社が所有運営する2つの洋上風力発電所で発電された電力を購入する契約を締結していました。

このプロジェクトは2026年と27年に開始され、事業者に対して州はそれぞれ1メガワット時あたり155ドルと146ドルを支払うことになります。これらの価格は、風力発電所の建設と運営にかかる推定費用(損益分岐コスト)に基づいて設定されたといいます。

しかしこの損益分岐コストについて、米国エネルギー情報局(EIA)は、税額控除を考慮しても平均で1メガワット時あたり101ドルになると推定。投資銀行ラザードによれば、53~79ドルになると推計されています。

売電価格は、損益分岐コストにある程度上乗せする形で設定されると見られますが、さすがに50%近くかそれ以上の価格になっている状況が不審であると、WSJは指摘しています。

これら推計価格と、実際にニューヨーク州が設定した価格の違いの背景として、WSJは、エクイノール社やオーステッド社が、「予想以上のコストがかかった」としてプロジェクトのキャンセルをちらつかせ、州に対して交渉圧力をかけた経緯を紹介しています。

しかし結果的に、バイデン政権が気候変動対策として成立させた「インフレ抑制法」の税控除も加味すると、税引き後の利益率が24%以上とかなり高いものとなり、記事では、「その発電方法が異常に費用がかかるもの」なのか、それとも「(悪意により)不当に高い価格設定がされたのか」と疑問を呈しています。

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