《本記事のポイント》
- なぜフーシは紅海への攻撃を続けるのか
- 命中精度が向上してきたフーシ派の対艦弾道ミサイル
- フーシ派が攻撃に使う対艦弾道ミサイルの将来的な意味
河田 成治
(かわだ・せいじ)1967年、岐阜県生まれ。防衛大学校を卒業後、航空自衛隊にパイロットとして従事。現在は、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)の未来創造学部で、安全保障や国際政治学を教えている。
前回は、イスラム武装組織フーシ派による紅海での商船への攻撃で、喜望峰経由を強いられる商船が増えていること、またフーシ派のミサイル開発にはイランが関与している可能性が濃厚だというお話をしてきました。
イエメンでは2004年以降、政府軍とフーシ派が内戦状態にありましたが、「アラブの春」がイエメンに波及した2011年にイエメンの政権が崩壊すると、フーシ派は2014年9月に首都サナアを占領、翌2015年2月には独自の政権を樹立しました。
フーシ派と対立するサウジアラビアやUAEは、有志連合軍としてフーシ派を攻撃、またイエメンの陸海空の封鎖を行いました。
なぜフーシは紅海への攻撃を続けるのか
この海上封鎖への報復として、これまでにもフーシ派は紅海などの船舶を攻撃してきました。過去には2016年10月に、サウジを支援する米軍の駆逐艦「メイソン」に対艦ミサイルを発射しています。
さらにフーシ派は2018年、「戦略的選択肢の一つ」として紅海の国際航行の封鎖を示唆しています。この封鎖発言は、有志連合軍との交渉を意図したものとみられており、有志連合軍との停戦や封鎖解除、フーシ政権を承認させるなどの目的があったと考えられます。
このようにフーシ派にとって紅海を脅かすことは、自身の戦略的利益に基づいたものといえるでしょう。
HSU未来創造学部では、仏法真理と神の正義を柱としつつ、今回の世界情勢などの生きた専門知識を授業で学び、「国際政治のあるべき姿」への視点を養っています。詳しくはこちらをご覧ください(未来創造学部ホームページ)。