《ニュース》

ウクライナへの地上部隊の派遣を突如持ち出し、同盟国を慌てさせたマクロン仏大統領には、ウクライナが敗北しているという焦りがあり、政治的に強いシグナルを発したかったのではないかと、仏ニュース週刊誌「マリアンヌ」がこのほど報じています。

《詳細》

マクロン氏が核戦争を招きかねない地上軍派遣の可能性を否定しなかったことで、他のヨーロッパ諸国やアメリカから反発を招きました。ロシア側も、戦争をエスカレートさせると警告を発する事態が起きました。

マクロン氏の真意が測りかねない派兵案に関し、フランスメディアのマリアンヌは、複数のフランス軍人にそれについて聞き、ある上級将校は、軍事的に非合理であるが故に嘲笑したといいます。

ではなぜマクロン氏は、派兵案という強いシグナルを示す必要があったのでしょうか。マリアンヌは、「ウクライナ軍の勝利は軍事的に不可能」「軍事的解決策のみを追求し続けることは深刻な誤り」などと指摘した、フランス軍の複数の機密文書を入手し、それらの分析と今回の件は関係していると見ています。いくつかある機密文書の大意を以下に紹介します。

  • ウクライナの兵士と将校の訓練は不十分である。ウクライナ軍は、将校の不足と相当数の退役軍人(年齢が高い)のせいで、新兵の訓練期間が「3週間以下」であることが多い。

  • 昨年の反攻作戦をめぐり、航空支援もなく、旧ソ連製より効率が悪い西側の兵器(ソ連兵器はメンテナンスなどが容易)をバラバラに装備したウクライナ軍には、ロシアの防御線を突破する望みはなかった。反攻作戦は、泥と血にまみれて次第に泥沼化し、いかなる戦略的利益ももたらさなかった。

  • ウクライナとは対照的に、ロシアは予備戦力をうまく管理し、作戦の持続性を確保している。ロシアは、完全に消耗する前に部隊を強化し、新兵と経験豊富な部隊を混ぜて、定期的に休息させている(西側メディアが頻繁に指摘する肉弾攻撃を否定)。

  • これまでのところ、ウクライナの参謀本部は、ロシア軍の防御線を突破できるような軍団レベルでの重要な部隊を持っていない。

  • ウクライナは毎月3万5000人の兵力を必要としているが、その半分以下しか集まっていない。一方のロシアは、毎月3万人の志願兵を入隊させている。西側諸国は、ドローンの製造などのために3Dプリンターをウクライナに提供できても、人間を"プリント"することはできない。

  • 西側の特殊部隊や、私服を着た西側の軍人がウクライナで活動している。

  • ウクライナが反攻に失敗して以来、西側の援助が少なくなっており、今年は反攻を開始できないのは明らかだ。

  • ウクライナが東部の要衝アウディーイウカから撤退したことは、突然の判断と撤退準備の不足という意味で、驚きだった。

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