《ニュース》
アメリカ港湾で使用されている中国製のクレーンから通常使われない通信機器が発見されたと、このほど米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じました(3月7日付電子版)。
《詳細》
問題となっているのは、米国内の港湾で利用される貨物用クレーンの8割近いシェア(世界シャアは7割)を占めている中国国有メーカー「上海振華(ZPMC)」の製品です。ZPMCは、昨年3月に「同社のクレーンは中国政府の偵察ツールになっている可能性がある」とWSJに報じられ、話題になりました(関連記事参照)。
そしてこのほど米議会が調査した結果、通常の操業用とはみられない通信機器が見つかったほか、セルラーモデム(デジタル信号とアナログ信号を変換する装置)が搭載されたクレーンもあったといいます。アメリカの港湾1カ所で使用されているクレーン部品から十数個の遠隔アクセス可能なセルラーモデムが見つかり、別の港湾のサーバー室内でも1個発見されたといいます。
WSJによれば、これまで議会調査でモデムが発見されたという報道はなかったということです。また、クレーンの遠隔監視や保守管理のためにモデムを設置すること自体は珍しいことではありませんが、ZPMC製クレーンを使用する港湾の少なくとも一部は、そのような機能を求めていなかったと指摘しています。
テネシー州の共和党議員で下院国土安全保障委員会のマーク・グリーン委員長は、「(中国は)海洋分野をはじめとするアメリカの重要インフラに組織的に潜入して脆弱性を利用し、価値ある情報を収集する機会を常にうかがっている」「アメリカがあまりにも長い間、この脅威を見過ごしてきたのは明らかだ」と述べています。
なお、バイデン政権は今年2月、港湾クレーンに代わる新型港湾クレーンの国内での生産を含め、今後5年間で200億ドル(約3兆円)以上を港湾警備に投資することを提案する大統領令に署名するなど、対策を講じ始めています。
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