昨年、「2182年に地球に衝突する可能性がある」として話題になった、地球近傍小惑星「1999RQ36」。1999年に発見された直径560mの山サイズのこの小惑星が、地球の軌道から約45万kmの距離を通過している。この危険な星に向けて、このたび、米航空宇宙局(NASA)が無人探査機を2016年に打ち上げる計画を発表した。

AFP通信によると、NASAが打ち上げるこの無人探査機は「オシリス・レックス」。4年がかりで接近して、2023年に帰還の予定だ。小惑星が衝突する予測の精度をアップさせたり、回避の手段を発見するために、この星のサンプルを持ち帰るというから、衝突の可能性が大であることがリアルに伝わる。

NASAは、「1999RQ36」を「地球に衝突する恐れのある小惑星」と正式に分類しており、衝突の可能性は1000分の1、衝突の予測は170年後の2182年。惑星科学者のクラーク・チャップマン氏は「地球の文明が壊滅することはないが、その衝撃は最大級の核弾頭数百個に匹敵し、衝撃で直径約10kmのクレーターが生まれるだろう」と指摘している。

「オシリス・レックス」はNASAのニューフロンティア・プログラムの最終候補で、小惑星のマッピングとサンプル採取を目指す。この「1999RQ36」には、太陽系初期から変化していない物質が豊富に存在するというから、その意味からも日本の小惑星探査機「はやぶさ」を意識して、小惑星「イトカワ」の微粒子を持ち帰った「はやぶさ」の成果以上のものを狙っているのだろう。

地球が壊滅するという「2012年問題」には惑星の地球衝突や接近なども含まれており、デマや風評も出やすく、惑わされないための情報精査が大切だ。科学技術の進歩で、宇宙の神秘のベールが次々とはがされているが、同時に新たな空からの危機も今後さらに発見されるかもしれない。宇宙情報への継続的ウォッチが肝要だ。(ア)