2024年1月号記事

幸福実現党 党首

釈量子の志士奮迅

第130回

釈党首

幸福実現党 党首

釈 量子

(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/

米国の二正面展開で台湾が危ない

長期化するロシア―ウクライナ戦争に加え、イスラエル―ハマスの戦闘も泥沼化し、世界は同時に二つの戦火を抱える異常事態となっています。

アメリカはウクライナと中東での「二正面展開」を迫られつつあります。同盟国のイスラエル支援を優先し、徒労感と敗北感が募るウクライナ支援から足抜けする流れはある一方、パレスチナでの紛争がイランなども巻き込んで拡大するリスクもあります。この二つの戦争がどう展開していくのか、世界が固唾をのんで見守っています。

そうした中、関心が薄れつつあり、だからこそ危機が高まっているのが「アジア有事」です。中国の習近平政権が「いかなる勢力も阻止できない」と強調し続ける"台湾統一"への軍事行動は、ただでさえ秒読みに入っていると言われています。

しかし、アメリカがウクライナ・中東に釘付けになり、新たな戦争に対処する資源も余力もなくなった時、それを絶好のチャンスと見て想定より早く動くことは、充分あり得ます。

不動産バブル崩壊批判を逸らすため

ただでさえ現在、習近平政権は中国経済の苦境による国内の不満にさらされています。大手不動産デベロッパーである恒大集団、融創中国、碧桂園が経営危機に陥り、国内総生産(GDP)の3割超を占める不動産業界はバブル崩壊に入っています。コロナ蔓延の影響もあり、20代の失業率は6割にも上るとされ、夏の大洪水による被災者は公式報道でも300万人いると言われています。こうした中、習政権が党内外の批判の眼を外に向け、"偉業"を引っ提げて国家主席四期目を確実にすべく、電撃的に台湾侵攻に踏み込むことも、想定すべきです。米中首脳会談に合わせた対米宥和的なポーズにも、油断は禁物でしょう。

実際、中国はここ数年、台湾周辺での軍事演習を繰り返しています。今年9月には周辺空域で中国軍機が24時間で初めて100機以上確認され、11月には空母「山東」に台湾海峡を通過させるなど、軍事的な圧力をエスカレートさせています。

そうした中、10月27日に李克強前首相が急死するなど、習氏の求心力が高まる力学が見え隠れします。実は李克強氏の守護霊は昨年3月、大川隆法・幸福実現党総裁のもとを訪れ、習氏のブレーキ役であった自分がいなくなれば、「台湾はもう強行して取られる可能性は強い」と訴えていました。

さまざまな要素を見るにつけても、悪い意味で機が熟しつつあり、ウクライナ・中東を取り巻く混乱が長期化・拡大すれば、中国がその隙を突いてくる危険性があるのです。

しかし台湾危機は、日本の危機でもあります。台湾が中国の支配下に置かれれば、日本侵略の足掛かりとなります。そうでなくとも、台湾海峡やバシー海峡といった日本のシーレーンが封鎖されれば、わが国は干上がってしまいます。

台湾有事の際には米軍が防衛に入るとされていますが、ウクライナ戦争へは武器支援にとどめて派兵しなかったため、アメリカがどれだけ頼りになるかは不透明です。そうした意味でも、日本は台湾を守る意志を明確にするべきなのです。

台湾を二度と見捨てない

幸福実現党は、「台湾を二度と見捨てない。いまこそ日台同盟を。」というポスターを全国で掲示し、その必要性を訴えてきました。イギリス下院の外交委員会が8月、インド太平洋戦略に関する報告書で、台湾を独立国家と明記し、話題を呼びました。日本の政治家も、台湾を国家承認する議会声明を出すくらいのことは、するべきでしょう。

幸福実現党では10月下旬、公認の地方議員が参加する「日台友好議員連盟」が台湾を訪問し、国会議員にあたる立法委員らと交流を行いました。そこで公民監督国会連盟理事長である曾建元氏から、「幸福実現党の『台湾を守ろう』という政策に感動している。安全保障は重要だが『自由・民主・信仰』の価値を捨てたら『安全』があっても仕方がない」という心強い言葉をいただきました。

大川総裁は台湾巡錫時の法話「愛は憎しみを超えて」において、台湾の繁栄と信仰を中国全土に広げることが、中国の人民の幸福につながると説かれました。私たちは世界の正義と平和を実現すべく、価値観の戦いを粘り強く続けて参ります。

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米軍は紛争拡大を抑止するため、イスラエル近海に空母打撃群を派遣している(画像はイメージ viper-zero / Shutterstock.com)。