全国公開中
《本記事のポイント》
- 悪魔の起源は堕天使
- 終生の誓いを立てたプロ宗教家に現れる神秘的な力
- 最後は信仰心が、魔を降(くだ)す
悪魔は確かに実在する。それゆえ、悪魔祓いの力を持つ、プロ宗教家が必要なのだ──。
宗教など自分には必要ない、興味もないと思っている人は多い。本作は、最強の悪魔と戦って、封印をかける本職の宗教家(尼僧:シスター)の活躍を描いた、人気ホラー映画の待望の続編だ。
1956年、フランスで起こった神父殺人事件をきっかけに世界に悪が蔓延する。ある特殊な能力を持つシスターのアイリーン(タイッサ・ファーミガ)は、バチカン教皇庁の要請を受けて事件の調査に乗り出す。人々を救うため自らの命をかえりみずに「主への祈り」を捧げるシスター・アイリーンは、ついに元凶である最強の悪魔、宿敵ヴァラクと対峙する。
悪魔の起源は堕天使
本作では、前作に続いて、最強の悪魔ヴァラクが登場するが、その正体が「神に拒絶された天使」であることをシスター・アイリーンたちが発見するところが前半の山場になっている。
悪魔の起源について、大川隆法・幸福の科学総裁は『地獄の法』の中で、彼らが堕天使であるとして、「はるかなる昔に、神に反抗したり嫉妬したりして転落して、天上界にもう上がってこられなくなった者が始まりであることが多いのです。そういう人たちが、地獄界において魔王、帝王となって、自分たちの世界をまたつくり上げていっているところがあります。『マフィアの世界』といえば、そんなようなところかもしれません」と語っている。
堕天使として、中には1億年以上のキャリアを持つ者もいるだけに、悪魔は様々な宗教的思想にも詳しく、普通の人では容易に騙され、操られてしまう。そこにプロの宗教家が登場する必要が出て来るわけだ。
終生の誓いを立てた尼僧に現れる悪魔祓い力
悪魔と死闘を繰り広げるシスター・アイリーンを演じるのは、前作に引き続いてタイッサ・ファーミガ。その可憐で清楚なたたずまいは、とてもそのような力があるようには見えないのだが、本シリーズの特徴は、最強の悪魔と対決する宗教者の条件をしっかりと描いている点だ。
前作『死霊館のシスター』では、見習い尼僧だったアイリーンが、悪魔との戦いの最中に、終生シスターの誓いを立て、「イエスの花嫁」になることを誓うことで、神秘的な力が与えられていた。
実は、同映画は大川隆法総裁の小説『小説 十字架の女(1)〈神秘編〉』でも参考にされている。同小説の余話のなかで大川総裁は次のように語っている。
「『神に尽くすということを誓った』ということです。このへんが、映画『死霊館』シリーズのなかのいちばん怖い『死霊館のシスター』などでも出てくるんですけどね。その『終生の誓いを立てた人かどうか』というのが一つ、悪魔祓いができるかどうか、戦えるかどうかということで。そういう人は強いのです」
実は、小説の主人公シスター・アグネスの原型の一つが、このホラー映画に登場する主人公シスター・アイリーンだったのだ。ちなみに、同小説に出て来る"十字架痕"も、前作にはしっかり描かれている。
最後は信仰心が、魔を降(くだ)す
今回の続編『呪いの秘密』では、シスター・アイリーンが心の底からの信仰心を、悪魔祓いの力として発揮する。彼女は、悪魔退治の切り札として頼りにしていたある物を悪魔ヴァラクに奪われ、絶体絶命の窮地に追い込まれてしまう。
万策尽きた彼女は、それでも、人々と世界を救うため、自らの命をかえりみずに、主なる神に最期の祈りをささげる。
祈りは地上で最も強力な力だと言われるが、主なる神に不可能はなく、その救いの力に絶対の信頼を寄せて祈る姿の描き方には、ホラー映画とは思えないほどの真摯さがあり、圧巻だ。
この作品は、ホラー映画の装いをまといながら、実は、スピリチュアル・パワーを秘めたスーパー・シスターを描いた"宗教ヒロイン映画"なのだ、と言いたくなるほどだ。
世紀末現象の裏には、常に悪魔などの、悪しき霊的作用が働いている。その邪悪な企みを見破り、破折し、封印をかけるのがプロの宗教家であり、宗教本来の仕事の一つなのだと改めて実感させてくれる。
本作は、全米映画ランキング3週連続で1位の座をキープするなど、アメリカでも幅広い人気を集めているという。
原因不明の恐怖体験におののいた経験を持つ人は多い。信仰心によって、神としっかりとつながった宗教家が放つ「悪魔祓いの力」。その力に救いを求める心は、やはり、人々の間で依然根強いようだ。
『死霊館のシスター 呪いの秘密』
- 【公開日】
- 全国公開中
- 【スタッフ】
- 監督マイケル・チャベス 製作ピーター・サフラン ジェームズ・ワン
- 【キャスト】
- 出演:タイッサ・ファーミガ
- 【配給等】
- 配給:株式会社:ワーナー・ブラザース映画
- 【その他】
- 原題: The Nun II | 2023年 | アメリカ | 110分
【関連書籍】