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2023年10月号記事

世界のトレンドは「脱ドル化」?

バイデン政権から
米ドル覇権の凋落が始まった

非欧米世界はなぜドルへの依存度を下げているのか。
理由を探った。

「脱ドル化」が世界を読むキーワードになりつつある。国際取引の決済を、米ドルではなく、ユーロ、円、人民元、ルーブル等で行う動きが、ウクライナ戦争を契機に加速しているのだ。

その理由は、アメリカによる対露金融制裁が苛烈を極めたことにある。金融制裁の一環として、世界中に預けているロシアの外貨準備6400億ドルの約半分にあたる3200億ドルを各国中央銀行に圧力をかけて差し押さえたり、ロシアを国際決済網から排除したりするなど、世界第11位の経済大国を世界から切り離そうとしたのである。


ドルへの依存度を下げ始めた

このアメリカの対露経済制裁を見て、「ドルに依存していると、経済戦争を仕掛けられる。これは実戦そのものだ」と、中国をはじめ中東諸国が警戒し始めた。将来、アメリカに標的にされた場合に備え、ドルへの依存度を引き下げる動きが始まったのだ。

だが、この動きは今に始まった潮流ではない。世界貿易のうち、ドルで決済されているのはわずか40%。10年前の52%から低下している。

著名な通貨アナリストのステファン・ジェン氏は、「外貨準備高に占めるドルの割合も、2001年の73%から21年には55%に低下。ロシア─ウクライナ戦争後は、さらに8ポイントも下げ、47%となった」と発表した。そして「アメリカの対露制裁後、急速に基軸通貨であるドルの地位が低下した」と付け加えた。要するに、制裁を見て、多くの国が「ドルを持つのはリスクがある」と認識し始めたのである。

その上、バイデン米政権下でインフレは高進し、ドル価値は16%下落(ラッファー博士インタビュー本誌69ページ参照)。保有資産の目減りを招くなら、外貨準備の多様化を図るのは、国家の資産管理上も理にかなっている。

 

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