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英財務省は17日、預金を引き出せる環境を維持するため、銀行が店舗や現金自動預け払い機(ATM)を閉鎖・撤去することに制限を課す制度を設けたと発表しました。

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イギリスでは、キャッシュレス決済の割合が過去10年で45%から85%に拡大しており、特にコロナ禍で現金離れが加速しました。大手銀行は、利用数が減少しているとして店舗やATMの閉鎖・撤去を進めています。

今回の制限は、銀行に対して顧客の住居や拠点から約4.8キロメートル以内に、店舗やATMを設けるよう求め、従わなければ罰金を科すというものです。今後、営業時間や対面サービスについても規制を設ける可能性があるといいます。

イギリス王立技工協会の調査結果では「キャッシュレス社会での生活に苦戦している」という人が1000万人以上に上るといいます。一例として、高齢者を支援する団体「Age UK」は、「信用がおけない」、あるいは「コンピューターを使うスキルがない」「視力が悪くて画面が見えない」などの理由で現金を使っている高齢者が多いと指摘。ATMが減って現金を下ろしにくくなると、生活を直撃してしまいます。

一方、ロンドンでは現金決済を受けつけない店舗が増えているといい、これまた高齢者が取り残されている現状があるといいます。「Age UKロンドン」のアビゲイル・ウッド氏は「多くの高齢者は、現金が最も信頼でき簡単な支払方法であり、週の予算を抑制する効果的な手段であると考えている」と指摘しています。

英財務相のアンドリュー・グリフィス長官は「現金はこれからも残る」とコメント。今回の制度について、「誕生日カードを買うための10ポンド紙幣を引き出すために、何時間もかけて出かけないといけないようにすべきではない」「とりわけ地方に住む人や高齢者、障害者など、現金を使う誰もが利益を得られる」とコメントしています。

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