《ニュース》

アメリカで、警察や消防隊、救急隊などが使用するITネットワークに中国製機器が組み込まれていることを受け、情報が全て中国に送られることに対する懸念をニューズウィーク誌が報じました(8日付)。

《詳細》

アメリカでは、警察や消防隊、救急隊など緊急事態において真っ先に対応する人々(ファーストレスポンダー)の共同作業を円滑にすべく、「FirstNet」と呼ばれる通信ネットワークが構築されています(2021年からFBIも使用)。

国内の重要な緊急インフラを担う同ネットワークに、中国製品が多数使用されていることを受け、ニューズウィークは関係者や専門家への取材を通してセキュリティー上の問題を指摘しました。

特に懸念されているのが、モノのインターネット(IoT)化に使われる「モジュール」も、中国製が多数使われていることです。

モジュールとは、例えば自動車や防犯カメラなど、「モノ(デバイス)」とインターネットをつなぐ役割を果たします。同機器は設置した対象デバイスを使用不能にできると共に、各デバイスを動かすウェブサーバーにもアクセスできるため、悪用されれば、緊急インフラに深刻な影響をもたらすとされています。

中国のIT企業は自国政府から要請があった場合、保有するあらゆるデータを共有しなければなりません。事実上、中国製のモジュールを通して得た情報は、全て中国政府に筒抜けだと言えます。元英外交官のチャールズ・パートン氏はニューズウィークの取材に対し、「アメリカかイギリスの全警察官のボディーカメラの位置を、分刻みで把握する状況を想像してほしい」と答え、こう語っています。

「全米の警察のボディーカメラの電源を落とすことができる、マウスをクリックするだけでそれらを無効にできるという状況を想像してみてください。中国はアメリカと戦う必要はない。電源を落とせばよいのだから。それは完全に可能なのです」

同誌によれば、2022年時点における世界の二大モジュール・メーカーはいずれも中国企業で、Quectel(クエクテル)とFibocom(フィボコム)とのことです。

《どう見るか》