2023年8月号記事

幸福実現党 党首

釈量子の志士奮迅

第125回

釈党首

幸福実現党 党首

釈 量子

(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/

LGBTQ運動は「世界の分断」も招く

性的少数者への理解を求める「LGBT理解増進法」が可決、成立しました。日本においてはすでに憲法14条で「平等権」が保障されており、余計な法律を作って混乱を助長する必要はありません。幸福実現党は廃案を訴えてきたのですが、残念な結果となりました。

罰則はないものの、実際に法律ができることの社会的影響は大きく、すでに各所で混乱が生まれています。

例えば議論真っ最中の6月上旬、三重県津市の公衆浴場で、女装した男性が女湯に侵入し、建造物侵入の疑いで現行犯逮捕されました。男性は「私は女だ」と容疑を否認しているといいます。

奇しくもその公衆浴場の近くに住んでいた幸福実現党の長谷川植市議は、議会で女性の権利や子供の安全を守るよう、対策を訴えたと言いますが、こうした問題提起自体を避けて欲しい空気もあったといいます。

他にもネット上では、駅のトイレに「女装したおじさん」が、不審な目つきで周囲を見回しながら入って来たので、駅員に通報したところ、「自称女性の男性が女子トイレに入るのを止めることは出来ない」と言われたという報告もなされています。

世界でもLGBTQ推進は混乱を巻き起こしています。米ニューヨークの党支援者から、「11歳の女の子が自殺願望に悩まされ学校のカウンセラーに相談したところ、性転換手術を勧められた」という話を聞きました。

社会は混乱
国際政治も混乱

各所で社会の混乱を招いているLGBTQ推進の流れですが、これは国際政治レベルでも混乱を助長する大きな要因となっています。

ロシアや中東、グローバルサウスといった国々は、欧米的価値観の押し付けに、強い抵抗感を持っています。長年の植民地政策や介入主義、一方的な価値観に基づく敵視政策など、歴史的背景によるものですが、特に近年、ロシア―ウクライナ戦争をめぐっても、バイデン米政権の対応に独善性を感じる国が多く、両者の溝が表面化しています。

こうした中にあって、アメリカ等がリベラリズムと称してLGBTQを推進していることについても、それを精神的退廃と見る国々は、より一層、嫌悪感と敵愾心を強める理由となっているのです。

ロシアのプーチン大統領も「私たちは子供たちに、女性や男性とは違う性が存在するという考えを頭に叩き込み、性別適合手術を受けさせたいのだろうか。(中略)私たちには、私たち自身の異なる未来があるのです」(*1)と訴え、「ゲイ・プロパガンダ禁止法」を制定しています。

イスラム教国であるマレーシアのマハティール元首相も、西側のLGBTQ推進の風潮に対し、「彼ら(西洋)が受け入れたいならば彼らの勝手だ。しかしそれを押し付けるのはやめてほしい」と反発しました(*2)。

ウガンダでは6月、反LGBTQ法が発効しました。同性同士の性交渉に関して、最悪の場合「死刑」とする規制強化です。

ここまでの「魔女狩り」的な動きは明らかにやりすぎです。しかし、西側がLGBTQを推進している影響が国内に及ぶことを警戒したものであり、「反動」として人権抑圧が強まる流れが生まれているのは残念です。

そしてこの法律に対して西側からは非難が相次ぎました。深刻化しつつある「世界の分断」の中、LGBTQ問題が火に油を注いでいます。

(*1)2022年9月の演説。
(*2)2018年にタイで行った講演。

人類に必要な自由・民主・信仰

こうした価値観の対立を乗り越えるためには、地球神の心に基づき、地球人としての共通の思想のベースをつくらなくてはなりません。

"リベラル"と称して、LGBTQを手放しで擁護することは、創造神が男女を分けて人間を造られた願いを無視するものです。生まれた性と、性意識のずれに本気で悩む人も確かにいます。しかし神はあくまでも、「生まれた性で生き抜く」ことが、本人の魂修行にとって必要だと考えておられます。

一方、行き過ぎた人権侵害が行われている地域についても、神は自由で民主的な世界の中で、人々に正しい道を選び取っていくことを願われています。

今、世界に必要なルールは、「自由」「民主」「信仰」という言葉です。これこそが争いを超え、地球を一つにできる、唯一の神の視点であると人類が気づいた時、地球には絶対の平和が樹立されるはずです。

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米ニューヨーク市で行われたLGBTQ推進パレードの様子(画像:Jess Pomponio / Shutterstock.com)。