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日本で唯一となった高速炉「常陽」(茨城県)がこのほど、事実上の再稼働審査合格となりました。

《詳細》

「常陽」は1977年から稼働した、国内初の高速炉です。後に廃炉が決まった高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)の前身にあたる研究施設(実験炉)として、数多くの実験やデータ収集が行われました。しかし機器破損トラブルで2007年から運転停止していました。

「もんじゅ」廃炉により、高速炉研究のための自前の実験施設を失った日本原子力研究開発機構は、17年に「常陽」の再稼働を原子力規制委員会に申請。規制委から見直しを指示されるなど、審査は長期化したものの、5月24日、安全対策方針が新規制基準に適合することを認める審査書案が了解され、事実上の合格となりました。

高速炉とは次世代原子炉の一つ。"高速"の中性子による核分裂反応をエネルギーの発生源とするもので、通常の原発(軽水炉)の使用済み核燃料を燃料として再利用します。「核のゴミ」を処理しやすいよう物質変換させることができるほか、「高速増殖炉」として原子炉を設計すれば、使った以上の燃料を生み出すことができ、半永久的なエネルギー源になるとも目されてきました。

核燃料の有効利用や、放射性廃棄物の解決を目指す「核燃料サイクル」にとって要の技術であり、日本は長らく世界の先端を走っていました。

ところが「もんじゅ」が廃炉になるなどし、研究は長らく停滞しています。研究継続の場として、フランスで高速炉を日仏共同開発するという計画が持ち上がったものの、その後、計画は凍結。アメリカでビル・ゲイツ氏らが設立したベンチャー企業と、日本勢が高速炉開発を行う計画もありますが、日本側が求める技術進歩にどれだけつながるかは、未知数とされていました。

古い型ではあるものの、国内で「常陽」が稼働すれば、高速炉の実用化に寄与すると見られます。

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