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世界の石炭火力発電の新規事業における中国の割合が、世界全体の3分の2以上を占めていることが分かりました。
《詳細》
米調査団体グローバル・エナジー・モニターの調査報告によると、2022年末時点で世界各国で計画中・進行中の新規火力発電所の発電容量は537ギガワットであり、中国がそのうち68%を占めています。また、同年に中国で新設された石炭火力発電所の発電容量26.8ギガワットは、世界の同発電所の廃止分(23.9ギガワット)を相殺するとしています。
調査は、石炭火力発電所の稼働は世界的に減少しており、欧州連合(EU)諸国、北米、北アフリカでは新たなプロジェクトが進んでいないこと、中東ではイランで建設中のタバス発電所が「この地域の最後の新規石炭火力発電所」になる可能性があることを取り上げつつ、中国が世界的な脱炭素の流れに逆行していると指摘しています。
中国では2022年夏に深刻な電力不足が発生しています。そうした中で中国国内では、2022年に石炭火力発電所の新規許可件数が前年の4倍となっており、その多くは数カ月で許可を得て融資を受け、着工していると専門家は指摘しています(2月27日付ブルームバーグ)。
中国国家発展改革委員会は3月、電力供給における石炭の役割を「拡大」し、エネルギーシステムの信頼性と安全性を向上させると表明しました。中国国家エネルギー局は4月12日、夏の電力需要の急増に備えて、新規炭鉱開発の認可を加速するとともに、すでに承認された炭鉱の建設も迅速に進める方針を明らかにしています。
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