トランプ前大統領のフェイスブック・アカウントが復活したことは、非常に大きなニュースとして、あらゆるメディアに報じられた。

フェイスブックを運営するメタ社は1月25日、トランプ氏のフェイスブックやインスタグラムのアカウント凍結を「今後数週間のうちに」解除すると発表した。2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件を受け、トランプ氏のアカウントは無期限に凍結されていた。

トランプ氏のツイッター・アカウントが復活した時は、ツイッターを批判してきた経緯や、自身が立ち上げたSNS「Truth Social」との契約の関係もあり、「たとえ復活しても戻らない」と公言していた(実際、ツイートしていない)。フェイスブックについては、トランプ氏側からアカウント復活の"陳情"をしており、メタ社のザッカーバーグCEOはすぐにその要請に応えたため、非常に大きな意味を持つと言える。

一方、2大保守系ニュースチャンネルの1つであり、"最後の真正保守チャンネル"とも言われる「ニュースマックス(Newsmax)」が、北中南米地域を中心とした衛星放送サービス「ディレクTV」から排除された。約2000万世帯の顧客を抱える「ディレクTV」は、コスト削減のためだと主張している。

昨年までは、米テレビ局の中では、「フォックスニュース(FOX)」、「ワン・アメリカ・ニュース・ネットワーク(OAN)」、「Newsmax」の3つの代表的な保守系ニュースチャンネルがあり、ワシントンでは、どの大手通信事業者と契約しても、この3つのチャンネルを見ることができた。しかし、2020年の大統領選の選挙不正を最も強く訴えていたOANも昨年、「ディレクTV」からも別の大手通信会社「ベライゾン(Verizon)」からも外されている。

政治力を利用した保守系言論の検閲か

トランプ氏をはじめ、ランド・ポール上院議員などの共和党議員は憤っている。トランプ氏は「"急進左派"は、(「ディレクTV」の親会社)「AT&T」の心と魂を乗っ取ったようだ。これは共和党、そしてアメリカそのものにとって大きな打撃だ」と「Truth Social」に投稿。即座に「ディレクTV」を解約したポール氏は支持者に対し、これに続くよう促した。

下院監視・政府改革委員会のジェームズ・コーマー委員長(共和党)は「調査する」と訴え、トランプ氏の義娘ララ・トランプ氏は「ジョージ・オーウェルによって書かれた『一九八四年』を読んでいないなら、いい機会かもしれない。本の中で描かれているディストピア社会は、今アメリカが向かっている場所のように感じられるからだ」と、Newsmaxの番組で批判する。

「ディレクTV」のサービスを提供しているのは、アメリカ最大の通信会社「AT&T」が設立した新会社である。この「AT&T」は、もう1つの代表的通信会社「Verizon」よりも古く、米エスタブリッシュメント系政界とのつながりが深いとされ、米政府系による対外介入政策などにも関わってきた。テキサス州共和党ウェスリー・ハント下院議員を中心とする41人の議員団は、1月20日付で「AT&T」の「ディレクTV」経営幹部に向けて、「『ディレクTV』による保守系テレビ番組の検閲に関する懸念について」とする書簡を出した。

台湾高官「民主主義は中国語圏で実際に繁栄しうる」と訴える

もう1つ注目すべきニュースは、このほどワシントンで行われた「国際宗教自由サミット」に関するものだ。日本ではほとんど報道されることはないが、世界において宗教の自由を促進することを主唱する「国際宗教自由サミット」が1月30日から2月1日の間、米ワシントンで開催された。

今回のサミットは、毎年2月の第一木曜日に開催され、米議員や宗教リーダーが多数集まるキリスト教を中心としたアメリカ最大の政治イベント「全米祈祷朝食会」に合わせて開催された。

同サミットではさまざまな著名人による講演が行われたが、初めて米首都ワシントンを訪れた台湾の 游錫堃 (ゆう しゃくこん)立法院長(国会議長)も1日に講演し、自由主義国家が台湾を護ることの重要性を訴えた。

台湾政府高官が、正式な国交関係のないアメリカで、政治的な会見や演説をすることは、中国からの強い反発を招くため、極めて困難だが(実際、蔡英文総統のワシントン訪問はいまだに実現していない)、一般的な宗教行事に参加することは、政治性のない非公式行事として、攻撃をかわしやすい面がある。

国際NGO「フリーダム・ハウス」の2022年版「世界の自由」レポートで、台湾は信教の自由に関して満点の4点を獲得している。

游氏は「もし台湾が中国共産党の勢力圏に入るなら、民主主義の道標は破壊される。そして、中国は第一列島線(九州-沖縄-台湾-フィリピン)の先に侵攻する可能性があり、全世界に脅威を与えることになる」と指摘。さらに「台湾は、西洋から生まれた民主主義が中国語圏で実際に繁栄しうることを示した」と語った。

宗教的グループが中心となって開催されている「国際宗教自由サミット」や「全米祈祷朝食会」などは、国際的に「信教の自由」を訴え、宗教間・国家間の相互理解を促し、世界の平和に貢献するという目的が含まれており、政治的には困難な国際的交流を水面下で推し進めて来た歴史がある。

中国が台湾侵攻に向けて動き出すことが危惧される中、台湾の自由を護るため、「自由・民主・信仰」の価値観を同じくする国や人々が連携することがますます重要になっている。

(米ワシントン在住 S・N)

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