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イギリスの中国研究者で、元外交官であるチャールズ・パートン氏はこのほど、中国政府が電子機器に使われるマイクロチップを通じて米軍の武器配備情報や一般市民の生活を監視している可能性があると警告しました。

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サイバーセキュリティなどを専門にコンサルティング業を行っている米企業「OODA」を通じて発表された報告書の中で、パートン氏は携帯電話の通信を使い、さまざまな製品に接続する「セルラーIoT」の危険性を指摘しました。

IoT技術はすでに、スマート電球やコーヒーメーカー、電気自動車などの製品に導入されています。IoT機器はそれぞれインターネットに接続し、利用者の個人情報などのデータの収集と分析を行うことで、さらなる高機能が実現できると期待されています。

しかし、インターネットを通じた個人情報などのデータ通信を傍受することで、中国はスパイ活動や、最先端技術などの機密情報の窃盗が従来よりも簡単に実行できるようになったと指摘されています。

報告書によれば、中国の情報機関はサプライチェーンや物流システムに組み込まれたIoT機器を通じて、「米軍が兵器の部品やシステムがどこに、どれだけ運ばれたのか」という機密情報を正確に把握できる状態にあるといいます。

さらに、中国当局は政府システムや家庭用電化製品などのIoT機器を通じて、個人の身元や行動パターン、連絡先などの情報を収集し、政府要人の追跡や反体制派の弾圧に使用する可能性があるとしています。

パートン氏は、世界各国は中国製IoT機器が政府や国家の重要インフラに組み込まれていないか徹底的に調査し、2025年末までに中国製IoT機器の新規購入禁止、既存製品の交換をすることなどを提言しています。

同氏は、英紙デイリー・テレグラフの取材に対して、「私たちはこの脅威に気づいていません。中国は、(IoT技術の)市場の支配を目論んでいます。そうなれば、各国が対中依存を強めるだけではなく、中国に膨大なデータを吸い上げられてしまうことになります」と語りました。

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