《ニュース》

脱炭素政策の資金を集めるため、政府が新しい「移行国債」を発行する調整に入ったことを、1日付朝日新聞が1面で報じています。

この移行国債は、資金の使い道を脱炭素事業に絞ったものとされていますが、欧州などの「環境国債」が再エネ投資などに使途を限定しているのとは異なり、CO2排出量を抑えた火力発電や、「次世代革新炉」を含めた原発関連の投資も対象としています。上記朝日の記事では「(純粋な環境債を発行する)世界の潮流からは外れる」と苦言を呈しています。

《詳細》

「脱炭素社会の実現」を国内外に表明してきた政府ですが、これを本気で行うとなれば「今後10年で、官民合わせて150兆円の投資が必要になる」と試算しています。「その呼び水として、政府が新国債発行で調達した資金を投資すべきで、これが世界の流れ」との声は根強くあります。GX(グリーン・トランスフォメーション)実行会議では、その具体的な制度設計が議論されてきました。

その結果、政府として「今後10年間で20兆円規模」の新国債を発行して資金を集める方針となりました。

新国債は、投資家がこれまでの「建設国債」「赤字国債」と区別して買えるものとなります。「脱炭素社会への移行につながる」という国際機関の認証を得て、通常の国債に比べて低金利で発行されることが見込まれます。

それを返済するための財源は、民間に対してCO2排出量に応じた金銭負担を求める「カーボンブライシング(CP)」で得るとされます。

具体的に検討されている手法としては、化石燃料を輸入する企業に対して支払いを求める「賦課金」と、電力会社に対してCO2排出枠を買い取らせる「排出量取引」の2つを組み合わせる制度が検討されており、前者の「賦課金」については28年度より段階的に導入されるとされています。

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