《ニュース》

米ワシントンで、新型コロナウィルスの起源を追究する新たな動きが起きています。

11月の中間選挙で下院を制した共和党は、1月の新議会始動を待ち、コロナの起源追究を目的として、バイデン政権の職員や専門家を含む数十人からの証言を要求することを明らかにしました。

《詳細》

共和党下院議員のジェームズ・コーマー氏(下院監視・政府改革委員会)と、ジム・ジョーダン氏(下院司法委員会)は12月14日、コロナの起源追究を求める声明と共に、証言を要求する40人のリストを公開。リストには、米国政府の感染対策の指揮を執ってきたアンソニー・ファウチ博士の名前も挙げられています。

下院の動きに先立つ12月3日には、中国の武漢ウィルス研究所と密接な関係を持つ米非営利団体「エコヘルス・アライアンス」の元副社長、アンドリュー・ハフ博士が、「新型コロナウィルスは遺伝子操作されたもので、同研究所から流出した」と指摘し、大きな話題を呼びました(本欄「『コロナは遺伝子操作されたもので、武漢ウィルス研究所から流出した』と内部告発 『9・11以来の米国諜報の最大の失敗』と問題視」参照)。

一連の新事実も踏まえながら、ジョーダン氏は声明で次のように語っています。

「アメリカ国民はコロナの起源について、事実と真実を知る資格があります。コロナは2年以上にわたって私たちの生活と人生を混乱させました。子供たちは学校に行けず、中小企業や教会は閉鎖され、経済は悪化し、私たちの自由は制限されたのです。

もし私たちがウィルスの起源について真実を知っていれば、パンデミックの初期にもっと有意義な方法でウィルスと戦うことができたはずです。このような機能獲得研究(gain-of-function research)や悪行が二度と起こらないように、監督を行い、事実を徹底的に調べることは、我々の憲法上の義務であるのです」

興味深いのが、コロナの起源に関する調査をめぐり、下院情報特別委員会では超党派による「満場一致」の支持があり、それをバイデン政権が「よく認識している」(重視している)ということです。一連の調査決議案がアダム・シフ委員長(民主党)を通じて下院情報特別委員会で採決にかけられる前日の12月12日、マイク・ターナー下院議員(共和党)が、FOXニュースに明かしました。

その後、コーマー氏らが証言要求の声明を出した14日、下院情報特別委員会の共和党議員はコロナの起源を巡る中間報告書を公表しましたが、同調査は「コロナウィルスは、中国・武漢の研究所から誤って放出され(たものであり)」、「中国による生物兵器研究プログラムの一部であった可能性がある」と結論づけています。

これは、米情報機関が昨年示した、「ウィルスは中国政府が生物兵器として開発したものではない」とする判断と、真っ向から矛盾するものです。

前述のハフ博士も、すでに下院情報委員会に所属する共和党議員からの接触を受けており、来月に新議会が始動して共和党が下院を制すれば、コロナの起源を巡って議会で証言する意志を明かしています(5日付FOXニュース)。

10月にも、米上院の委員会が「新型コロナウィルスが人工的に作られ、研究所から漏洩した可能性が高い」と結論付ける中間報告書を発表しましたが、一連の下院による起源追究の動きは、もう一段踏み込んだものになると言えます(上院委員会による報告は関連記事参照)。

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