2023年1月号記事

企業家精神に溢れる大阪

繁栄のカギは「自由」の解釈にある

豊かさの背景には、自由がある。
その「自由の精神」のあるべき姿とは、どのようなものなのか──。

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大阪メトロの堺筋本町駅のすぐそばにある、大阪中央支部精舎。

大阪は、江戸時代以降、船場地区(現:大阪市中央区)を中心に発展してきた。

江戸時代後期、蘭学者であり医学者の緒方洪庵は、船場に適塾(大阪大学の前身)を開き、医学と蘭学の指導を行った。

また、幕臣であった勝海舟は約半年間、大坂での仮の住まいである船場の専稱寺に海軍塾を開く。そこには土佐藩を脱藩した坂本龍馬らも頻繁に通っていた。その後、勝は神戸海軍操練所の開所準備のために神戸に移り、私塾も大坂から神戸に移している。

私塾の跡地には、かつてビルが建っていたが、そのビルには当時、幸福の科学の大阪中央支部が入っていた(現在は別の場所に大阪中央支部精舎が建立されている。写真)。

自転車屋で商売の秘訣を学ぶ

パナソニック(旧・松下電器産業)グループ創業者の松下幸之助が9歳で親元を離れて丁稚奉公した「宮下火鉢店」や「自転車屋」も、この地にあった。のちに「経営の神様」とまで称される幸之助は、「丁稚奉公時代は自らの基礎をつくった時代だ」と述懐している。

当時、自転車屋の小僧であった幸之助は、店に自転車の修理に来る客によくタバコを買いに行かされた。手間がかかるので知恵を働かせ、自分の給料で一度にたくさん買い置きしておき、その都度客に渡すことにして、喜ばれた。さらにタバコ屋では20個買うと1個おまけでくれたので、月に60個売れれば3個分儲かる。

15歳で初めて自分で問屋の主人に自転車を売り込んだときは、買ってもらえることになったが、その代わりに「1割引きで」と約束させられた。しかし、自転車屋に戻ると、店主に「値引きしすぎだ。5分だけ引くと伝えてこい」と言われ、幸之助は辛くて泣き出した。問屋の主人がそれを知ると、「面白い小僧だ。5分引きで買ってやろう」と笑った。しかも幸之助がいる間は、自転車をこの店で買ってくれるようになった。

この地で幸之助は、「お客さんを喜ばせることが商売の秘訣だ」と学んだ。そのための創意工夫も、自由があるからできることだと言える。幸之助は、「人間は自由な意志、自主的な責任において仕事をするときに力を発揮する」という言葉を残している。

※本企画の『 』内の書籍は、全て大川隆法・幸福の科学総裁著。

 

次ページからのポイント

大川総裁が大阪で説いた二つの「自由」

来世に持って還れるものは○○しかない