《本記事のポイント》

  • 新型コロナで亡くなった人も通常の葬儀ができるようガイドライン変更を検討
  • 死んだ自覚がない霊が、肉体から魂が離れる前に火葬されることになったら……
  • 葬儀の最も重要な意味は、故人の魂に「引導を渡す」こと

このほど政府は、新型コロナウィルスで亡くなった人の葬儀などについての国のガイドラインを見直す考えを示した。

2020年7月に作成したガイドラインでは、臨終後も接触感染を防ぐため、遺体は非透過性納体袋に入れられ、遺族が遺体に触れることもかなわない。しかし、今年10月27日に行われた参議院厚生労働委員会の審議では、「病室で対面できない、火葬場にも入れてもらえないということが全国で起きている」とし、見直すべきだと指摘された。

背景には、新型コロナが結核と同じ感染症「2類」に指定され、極めて厳しい感染対策が義務付けられていることがある。流行から2年経ち、感染者が軽症で済む例も多い中で季節性インフルエンザと同じ「5類」への引き下げを求める声も上がっているが、岸田首相は10月18日、引き下げについては「考えていない」との考えを示した。

ガイドラインは、納体袋に入れた状態であれば、遺族の意向に沿って通常の葬儀を行うことも可能としている。ところが、葬儀社がコロナ陽性で亡くなった遺体の受け入れを拒否したり、火葬場が受け入れに難色を示したりするケースが多く、先に火葬を行い、後で葬儀を行う「骨葬」を行うケースは依然として多い。

一方で、遺体から接触感染する可能性は「全ての感染機会の1万分の1未満」と米疾病対策センター(CDC)が2021年に指摘。国内でも静岡市立静岡病院などは、コロナ感染で亡くなった場合でも遺族の面会を許可しており、通常の遺体と同様に引き渡している医療機関も出てきている。

今後、過剰な感染対策の見直しが進むことが望ましいが、そもそも、コロナ流行前から、葬儀の儀式を簡素化する傾向は強まっている。火葬のみ行う「直葬」も増加傾向だ。

しかし、「故人の立場」から考えると、「亡くなった直後に火葬」というのは、霊的に極めて恐ろしい事態を招きかねない。

最期の別れもままならず、その日のうちに「火葬」の運び

和田理恵さん(60代女性・仮名)はこの夏、父親をコロナ感染で亡くした。遺体は亡くなったその日に火葬され、後日「骨葬」を行ったという。父親との別れを振り返り、理恵さんは「本当は手を握って看取ってあげたかった」と涙ぐむ。

理恵さんの父親はそれまで、別の病気で入院していた。面会は週に一回、5分だけ許可されていたが、次第に回復しており、もうすぐ退院、と言われていたという。

「そんなタイミングでコロナに感染してしまって、数日で亡くなったんです。高齢だったので覚悟はしていたのですが、まさかこんな別れになるとは……」

病院から連絡を受け、職場から駆け付けた理恵さん。病院側の配慮で最後に父親の遺体と面会できるよう取り計らわれていたが間に合わず、遺体は納体袋へ入れられてしまっていた。そして、その日のうちに火葬するための手続きが慌ただしく行われていった。

「病院側は最大限に配慮してくださって感謝しかないのですが、遺族が故人に面会できるかどうかも主治医の判断だったようなので、許可されない場合もあるかもしれません」(理恵さん)

死んだばかりの人をすぐ火葬してしまうと……!

霊的な真実から言えば、人間の霊的な「死」とは、心臓が停止して医学的な死を迎えてからおよそ一日後、肉体と魂をつなぐ「霊子線」が切れた時のことである。心臓停止直後は「霊子線」で肉体と繋がったままの魂は肉体を抜けたり戻ったりしており、この段階では、魂に肉体の痛みが伝わっている。

大川隆法・幸福の科学総裁の著書『霊界散歩』には、「死んだばかりの人を、すぐ火葬場に持っていって焼いてしまうと、焼かれる人は、霊子線がまだ切れていないので、ものすごく苦しみます」とある。伝統的に葬儀で「通夜」が執り行われ、火葬まで最低一日空ける背景には、実はこうした霊的事実があるのだ。

コロナ感染で亡くなった人の場合、「24時間以内に火葬できる」ということがガイドラインで定められている。これはあくまで「火葬できる」ということであり、決して義務ではないが、葬儀社が遺体を引き受けられないなどの理由で、先に火葬して「骨葬」とする例も少なくない。

幸福の科学の信者である理恵さんも、父親が死後、数時間で火葬する運びとなったことで魂の安らかな旅立ちを心配した。理恵さんは火葬前、父親の霊に「やむを得ずこれから火葬しますけど、どうか体から離れてくださいね」と呼びかけた。

「父は生前、幸福の科学の信仰を持っていて、死んだらあの世に還ること、仏神がいらっしゃることなどは学んでいたので、どうか分かってもらえたら、と願いました。心配は心配だったのですが、後日、私の夢の中に、父があの世の景色のきれいな場所で友人と楽しく仕事をしている姿で現れてくれたので安心しました。

でも、あの世や霊を信じていない方が葬儀もなしに、なんの説明もなしに、火葬場で突然焼かれたら……。ショックどころではないと思うんです。やり場のない苦しみと怒りで、余計にあの世に行けなくなることも想像できます」(理恵さん)

葬儀は故人の霊に「死んだ」ことを自覚させ、引導を渡すために必要

理恵さんの夫で、同じく幸福の科学の信者である一郎さん(仮名)は、他の自治体では首長の配慮で、コロナ感染で亡くなった人に対して、通夜や葬儀を行えるようにしているとの話を聞いた。

「やはり、『通夜や葬儀をしないなんてとんでもない』という住民の圧力があるので、そのような運用になっていると思います。しかし、都市部だと様々なことが機械的に進められている印象です。こんなこと、本当に許されるのか、というのが正直なところです。安らかにあの世に旅立つのも、大切な人権ではないですか。こういう規制は人権侵害だと思います」(一郎さん)

大川総裁の著書『永遠の生命の世界』には、死後、たいていの人が肉体に執着して、肉体から離れようとしないために、「『遺族が集まり、通夜や葬式をして、本人に、「あなたは死んだのだ」ということを自覚させ、肉体から魂を離脱させる』という儀式が、古くから続いている」とある。親族が集まって悲しんでいる姿を見ることで、自分が死んだことを自覚する霊も少なくないという。

そして、葬儀では宗教者が読経や説法などを通じて、故人の霊に死んだことを悟らせ、肉体への執着を断たせて、死後の世界への導きを行う。こうした「引導を渡す」行為こそが、宗教儀式としての葬儀の最も重要な意味なのだ。

「見栄や世間体は必要ない」「人づきあいがない」などの理由で葬儀を簡素化し、通夜や告別式を省略する傾向も出てきているが、「故人の霊」の立場で考えれば、それでは済まない例が数多くあると想像できる。

今こそ宗教的な「死」の意味に立ち返り、「仏神の加護のもと、安らかにあの世に旅立つ」意味を見直すべき時である。

【関連書籍】

いずれも 大川隆法著 幸福の科学出版

【関連記事】

2021年2月24日付本欄 コロナ感染者の遺体と対面できないケース相次ぐ 過剰すぎる政府のガイドライン

https://the-liberty.com/article/18125/

2020年4月13日付本欄 天国に還れる生き方を──幸福の科学の葬儀【どうして供養が大切なのか(3)】

https://the-liberty.com/article/17025/