2018年2月に新疆ウイグル自治区テケス県の拘置所で行われた、暴動防止または逃亡防止のための警備訓練の様子。木棒を持つ暴徒鎮圧用フル装備の特別警察(SWATに相当)チームの背後に、緑の戦闘服を着た武装した警察が大勢いる(「新疆公安ファイル」より)。

2022年11月号記事

強烈な流出画像 機関銃の監視 AIが決める逮捕…

「新疆(ウイグル)公安ファイル」が示す恐ろしい実態

中国共産党幹部の発言記録や収容施設の内幕を伝える内部写真など、数万点の資料が含まれた中国公安当局の内部文書「新疆公安ファイル」が流出し、5月に世界中で報じられた。ウイグルの人権侵害はない、とする中国政府の主張を引っ繰り返すものだった。

しかし、ファイルの流出と同時期に新疆ウイグル自治区を視察した国連人権高等弁務官事務所のバチェレ高等弁務官は、ファイルについて言及を避けた。退任期限の8月末に、ようやくウイグルに関する報告書を発表したものの、習近平国家主席やジェノサイド(大量虐殺)に関する記述はなく期待外れに終わった。

中国からの圧力に屈したかに見えるバチェレ氏。だが一方で、このファイルはそれほど中国にとって都合の悪い存在なのだろう。

流出した「新疆公安ファイル」が暴露した強制収容所の実態とはどのようなものなのか。2人の専門家が語った。

 

次ページからのポイント

弾圧は習近平氏が直接指示/エイドリアン・ゼンツ氏インタビュー

いつまで悪事を黙認するのか/ヌリー・ターケル氏インタビュー