《本記事のポイント》
- 債務危機に陥る国が増大中
- 対外債務総額が中低所得国で過去最大
- ドル建てでの開発資金援助で行き詰まる中国
スリランカでは、ラジャパクサ大統領が7月13日に軍用機で祖国を脱出した。中国からの対外債務の膨張がラジャパクサ氏脱出の引き金を引いた原因とされている。
対外債務残高は、2001年に83億ドル(約1兆1500億円)から、22年3月に505億ドル(約6兆7千億円)に膨張。
外貨収入が途絶え、5月に支払い猶予期限を迎えた国債の利払いができずにデフォルト(債務不履行)に陥った。
債務危機に陥る国が増大中
米連邦準備理事会(FRB)の利上げで、世界中にばら撒かれたドルは、金利の高いアメリカに戻りつつあり、新興国から引き上げられ始めている。これに伴い新興国の30%、低所得国の60%が債務危機に陥る可能性が高まってきた。
その兆候はまず通貨に表れる。破産を宣言したスリランカルピーは、ドルに対して44%安となった。
インドルピー、チリペソ、トルコリラ、ブラジルレアル、韓国ウォン、フィリピンペソなども同様に下落しており、ハンガリーの通貨フォリントに至っては、昨年末と比べて2割以上も下落した。
これらの国は、下落を防ぐために手持ちの外貨準備を使って、ドル売り自国通貨買いを強いられたり、通貨安を防ぐために利上げを迫られたりしている。ハンガリーのケースは象徴的で、政策金利は9.75%に引き上げられた。
このようにロシアの軍事作戦後、ロシアに欧米が制裁を科すほど、インフレとドル高に喘ぐ国が増えているのだ。
対外債務総額が中低所得国で過去最大
ドイツのオーラフ・ショルツ首相も5月に、中国の諸外国に貸し付けている融資がきっかけとなり次の債務危機が起きる可能性があると警鐘を鳴らしている。
世界銀行のエコノミストの見積もりによると、中低所得国が現在抱える対外債務総額は過去最大の9兆3000億ドル。債務返済に窮しているか、窮するリスクが高い状況にある国は低所得国で40カ国、中所得国で6カ国前後あるとされている。
ドル建てでの開発資金援助で行き詰まる中国
中国は自らが主導して設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)や、独自に設立したシルクロード基金を通じて、各国に対し資金援助を行ってきた。
いわゆる中国の「一帯一路構想」である。2013年秋に構想が提起されてより、融資残高は世銀の実績を上回ってきた。
世銀のデータによると、中国一国の低所得国に対する融資残高は、パリクラブ(西側諸国から成る主要債権国22カ国の非公式の集まり)の全参加国の低所得国に対する債務残高の合計を超えるという。
世界は「次のスリランカ」の出現を危惧している状況だ。
「債務の罠」にかけようとして、罠にはまる中国
中国から多額の融資を受けている国で、債務再編を行っているのがザンビアとエチオピア、返済期限が近づいているのがケニアとカンボジアやラオス、デフォルトに陥るのを防ぐために中国から新規融資を強いられている国が、パキスタン、アルゼンチン、ベラルーシ、エジプト、モンゴル、ナイジェリア、トルコ、ウクライナなどである。
パキスタンに対しては、新たに23億ドルの融資が必要となっている。それでも同国がスリランカのようにデフォルトに陥る危険性は残る。
フィナンシャル・タイムズ紙が7月22日に報じたところによると、パキスタンの外貨準備(外準)は2カ月分の輸入代金分しか残されていない。手持ちの外貨が急速にひっ迫しているのだ。
中国による貸付は、大半が政府系機関や政策銀行によって行われており、融資額や条件を含め、機密保持レベルが厳しく、詳しい内容ははっきりしない。
ただこれまでもアフリカには1250億ドルの融資をしており、その大半が焦げ付くのではないかと言われている。
しかも融資はドル建てだ。中国は外貨準備に一帯一路の融資も含めているとされ、貸し付けた融資が不良債権化すれば、中国の外準が目減りする。
「一帯一路構想」は、中国にとって地政学的要衝にある国を「債務の罠」にかけ、港湾施設などの重要なインフラを中国が握るという隠された目的がある。スリランカもその一つではあり、今後も「債務の罠」から目を離してはならないのは確かである。
だが一方で、デフォルトがスパイラル的に発生した場合、中国は自国通貨の防衛ができなくなるほど、外準が減少してしまうこともあり得るのだ。
大川隆法・幸福の科学総裁の霊言で、メシアクラスの宇宙存在ヤイドロンは、中国を崩壊させる一つの方法として、以下のようなシナリオがあると述べていた。
「いちばん平和的な方法としては、『中国経済の崩壊』を一つは考えています。欲がありますから、欲があるのを、いっぱいいっぱい欲をかかせて、兵線が伸び切ったところで中国経済の崩壊を起こすというのが一つです」(関連書籍『ヤイドロンの霊言「世界の崩壊をくい止めるには」』参照)
中国の外準が減って自国通貨の人民元を買い支えられなくなった時に、変動相場制に移行せざるを得なくなる日もやってこよう。その時、人民元の対ドルレートが暴落し、国内で物価が急速に上昇し、国民の暴動が多発。一党独裁体制が維持できないというシナリオもあり得る。
FRBのジェローム・パウエル議長は、アメリカのインフレ収束に向けて利上げを継続するとしている。予期せぬ「ドル高」の猛威が、今後中国経済に打撃を与えるものとなるかもしれない。
【関連書籍】
『ヤイドロンの霊言「世界の崩壊をくい止めるには」』
幸福の科学出版 大川隆法著
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