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オーストラリアの独立行政機関が、2023年に同国内の天然ガス需要の約1割が不足する見通しであるとして、政府にガスの輸出規制措置を検討するよう勧告しました。
《詳細》
オーストラリアの独立行政機関である競争・消費者委員会(ACCC)の報告では、国内で生産する天然ガスのうち、国内向けよりも輸出向けが多いことを指摘。人口の9割が集中するシドニーやメルボルンなどがある東部でガス不足になるとして、「オーストラリア国内ガス安定メカニズム(ADGSM)」を発動し、輸出を規制するよう勧告しています。
キング資源相は1日の会見で、ADGSMを発動するかどうか決定するため、ガス生産企業に生産量や液化天然ガス(LNG)輸出量、市場見通しを政府に提出するよう要請する通知書を準備していると明かしました。規制の発動は8月末まではないとしつつ、輸出業者や貿易相手国との協議の上、10月には決定を下すとしています。
ADGSMは2017年に、5年間の時限で導入されました。その背景には、12年から14年にかけて、国内で工業用ガスを長期・大口で契約する際に、高価格で柔軟性が低く、短期の提案しか得られないという事態が発生したことがあります。
オーストラリアでガスの供給難が議論されている背景には、既存のガス田での生産が減少する一方で、石炭火力発電所の老朽化や閉鎖によってガス火力の需要が増えたこと、さらに世界的なLNGの需要増で、輸出が増加したことなどが複合的に絡んでいます。
オーストラリア政府はこれまで、国内でのガス開発の促進によって対応するとしてきましたが、キング資源相はADGSMを2030年まで延長し、制度の強化も検討中であると述べています。
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