2022年7月号記事

Mass communication

マスコミ民主主義が世界を滅ぼす

政府もマスコミも世論も、ウクライナ支援一色に染まる風潮は、情緒的な情報に左右されやすい民主主義の欠点を浮き彫りにさせている。
大衆扇動に惑わされないようにするにはどうすべきか。


contents


19549_03

ウクライナの独裁者が世界を戦争に引きずり込む

英雄視されているゼレンスキー氏の本当の姿とは。

メディアは「ロシアが一方的にウクライナを侵略し、ゼレンスキー氏は英雄である」と盛んに持ち上げている。

だが彼の正体を知れば、その言説は誤りであり、むしろ世界大戦を呼び込む危険なポピュリストであることが分かる。ゼレンスキー氏が大統領に成り上がり、今回の戦争に至った顛末に迫る。

中身がない芸人が国政を大混乱させる

学生時代から芸人として活躍していたゼレンスキー氏は、ダンス番組「ダンシング・ウィズ・スターズ」で大ブレイクし、同氏の出演回は最大瞬間視聴率87%を記録した。さらに国民的人気を誇るバラエティー番組「ベチェルヌイ・クバルタル」で、自身の局部を使ってピアノを演奏するなど発禁まがいのネタを披露して人気を博し、不動の地位を築いた(下画像)。

人気お笑い芸人が政界進出するきっかけになったのが、2015年から19年まで放送されたコメディドラマ「国民の僕」。ストーリーは、ゼレンスキー氏演じる高校の歴史教師による腐敗政治を批判した動画が拡散され、大統領に当選し政治改革に乗り出すというもの。14年のクリミア併合や、政府が財政破たん寸前だった影響もあり、ドラマは大ヒットした。

そして、政治経験が全くないゼレンスキー氏はドラマ放映真っ只中の17年に、ドラマタイトルと同じ名を冠した政党を設立。満を持して19年の大統領選に出馬し、劇中のセリフを織り交ぜた演説で言葉巧みに支持を伸ばした。ドラマ主人公の高校教師のごとく、既成政治エリートを新興財閥と癒着する「民衆の敵」に仕立て上げながら、前政権の汚職を徹底的に批判したのだ。

一方で、自身の政策マニフェストはたったの1600字程度に過ぎず、全く中身がなく、有識者から「当選すれば国の恥」と酷評された。しかし、政府の汚職や東部の内戦に伴う国民生活のひっ迫感への不満の受け皿となりつつ、「ロシア系住民の権利を守る」と発信したことで、70%以上の圧倒的支持を得て大統領選に当選した。

だが現実の政治は、ドラマのように簡単にはいかなかった。ゼレンスキー政権は閣僚に芸能事務所の仲間を配すなど、まさに「政治の素人集団」。案の定、東部紛争の解決や新型コロナウィルス対策に対応できるはずもなく、失策を重ねた。「やはり素人ではダメだ」と国民に見限られ、支持率は2割程度にまで急落。国政を混迷の渦に突き落とした。

19549_01
テレビ番組で、ズボンを下ろし、自身の局部を使ってピアノを演奏するゼレンスキー氏(画像はYouTube「Студия Квартал 95 Online」より)。

 

次ページからのポイント

ゼレンスキー大統領は親露派を粛清する独裁者

マスコミがバイデン"凡人"大統領を選んだ結果、世界大戦の危機に

米アナリスト 山中 泉氏インタビュー