7月1日の共産党創設90周年を控える中国で、今月から党を称える映画やテレビドラマが続々と登場することを、12日付の読売新聞が伝えている。中東で広がる民主化要求運動が、中国にも波及することを防ぐため、若者世代を対象にした「愛党教育」の狙いがあるという。

記事によると、共産党創設前後の緊迫した情勢を描いたドラマや、革命の聖地である延安を舞台にした恋愛ドラマのほか、6月15日から上映される映画「建党偉業」では、若き日の毛沢東や周恩来が活躍する姿を描き、若手イケメン俳優やベテラン俳優など100人近いスターが競演することで話題を呼んでいる。

また、国家放送映画テレビ総局は各地方のテレビ局に対し、5~7月にかけて党の功績を宣伝するために放映すべき40作品を推奨し、他の娯楽作品を延期するよう通知しているという。

こうした中国の思想統制、保守化の動きについては、すでにリバティ本誌連載の、相馬勝氏の「中南海 インサイド・ウォッチ」でも指摘している。

2011年2月号の連載第1回では、この動きが目立ち始めたのは、次期最高指導者の習近平・国家副主席が、党中央軍事委員会副主席に就任した2010年10月中旬前後と指摘。この頃に、朝鮮戦争で戦死した毛沢東の長男を主人公にした連続テレビドラマ「毛岸英(全34回)」の放送が開始されたり、『毛沢東伝』など伝統的な共産主義思想を宣揚する書籍が党員の学習文献に定められたりしたことを伝えた。

習氏は党の思想工作の最高責任者であるため、90周年に向けた「愛党教育」を指揮していると考えられるが、中国国民の関心を「民主化」から「愛党」にシフトさせた先には、必ず「反日」が待っている。中国の空母建造やステルス機開発などの軍事拡大の動きを、日本人は今、真剣に受け止める必要がある。(格)

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