2011年6月号記事
識者インタビュー(2)
政治評論家 屋山太郎(ややま・たろう)
1932年、福岡市生まれ。東北大学を卒業後、59年時事通信社に入社。政治部記者、ローマ特派員、編集委員兼解説委員などを歴任して、現在に至る。81年に第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画。以後、第一~三次行政改革推進審議会専門委員、臨時教育審議会専門委員などを務め、国鉄の分割民営化等に尽力。一貫して政治改革や行政改革を訴え続けてきた。著書に『JAL再生の嘘』(PHP研究所)などがある。
日教組は「いかに楽をするか」を考える
なぜ公立学校が駄目になっていくかというと、校長や教師たちが頑張っても頑張らなくても給料が保障されているからなんです。地方公務員なので、給料は人事院勧告に準拠して決められている。基本的には民間企業の水準より多い。
こうしたなかで日教組が何をするかというと、労働をスカスカにする。つまり、「いかに楽をするか」を考えるわけです。
たとえば、勤務時間内に組合活動をやったり、「自宅研修」と称して生徒と同じように春休みや夏休みをとったりして、給料は減らされないようにしながら労働時間を減らそうとする。ゆとり教育なんて日教組の願いが実現したようなもので、教える内容や授業時間を少なくして教育をスカスカにしただけ。
民間委託で作業が16倍に
こうした体質は、公営企業の旧国鉄や、半官半民だったJALも酷似してる。
たとえば国鉄時代、新幹線の窓ガラスをはめる作業は8人がかりで一日4枚だった。あまりに効率が悪いので、国鉄当局がその作業を民間に委託したら、2人で一日16枚こなした。一人当たり一日0・5枚だったものが8枚に増えたわけだから作業が16倍速くなった。これが国労・動労の組合員26万人分あったと考えたら相当な無駄ですよね。
JALも同じ。民営化以前は、スチュワーデスは自宅から空港までハイヤー使って、民営化後もタクシー使ってた。赤字問題が騒がれてからようやく電車通勤になった。当たり前ですよ。
要するに、国に保護されたり、頑張っても給料が変わらない業界では、金さえもらえれば別に努力する必要なんてないと、人間が腐っていくんですよね。