2022年3月号記事

コロナ敗戦、世界の分断、ハバナ症候群

バイデン・ピンボケ大統領

バイデン政権の発足から1年。日本国内の報道だけでは見えにくい政権の実情を探った。


政権発足から1年。バイデン米大統領の支持率は悪化の一途を辿っている。米調査会社ラスムセンの世論調査では、ついに不支持率が60%にまで達した(1月17日時点)。

国内においては、違法移民の急増に伴う治安悪化や激しい物価の上昇(インフレ)、さらには新型コロナウィルス・オミクロン変異株の急激な感染拡大。外交面でも、タリバン復権を誘発したアフガニスタンからの完全撤退は、「ベトナム以来の大失態」だと保守・リベラル両陣営から糾弾されている。ロシアとの関係も悪化し、ウクライナをめぐって、かつてないほど緊張が高まっている。

ワシントン在住のアメリカ・ウォッチャーはこう語る。

「バイデン氏は八方塞がりであり、民主党議員すら沈みゆく"タイタニック"から逃げ出そうとしています」

米政府の動向に詳しい4人の識者に話を聞いた。


INTERVIEW

100万人近い国民を殺されてなお、大統領の責任を放棄するバイデン

一貫して中国共産党の脅威を訴え続けてきた米専門家は、バイデン政権の対中政策をどう見るか。


アジア問題専門家

ゴードン・G. チャン

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(Gordon G. Chang) 1973年、米コーネル大学卒。多数の米テレビ番組に出演する人気コラムニスト。著書に『やがて中国の崩壊が始まる』(草思社)などがある。Twitterアカウントは、@GordonGChang

──バイデン政権は対中強硬にも見えますが、上辺だけとも指摘されています。

チャン氏(以下、チ): 中国政府が日々アメリカへの攻撃を続ける中、我が国の政治的リーダーは対応から逃げています。

この問題はバイデン大統領が、中国政府ではなく気候変動こそアメリカに最大の危機をもたらしている、と信じていることに起因します。バイデン政権は中国高官が脱炭素について正しいことを言う限り、中国政府に喜んで特権を与えてきました。

中国政府のプロパガンダ紙・人民日報は2019年5月、米中関係が「人民戦争」(*1)に突入していると位置付け、それ以降もアメリカを攻撃する正当性を訴えています。しかしながらバイデン氏は中国の敵意に気づいていません。現政権の国務省が「ウイグル強制労働防止法案」(*2)に反対するロビー活動を行ったことは、大統領が確固とした対中政策を持っていないことを如実に示しています。

──現政権下でアメリカの対中投資は増えています。

: バイデン政権は中国からの分離(デカップリング)に否定的で、中国政府への依存を減らす具体的な対策をほとんど行っていません。それどころか、中国製の日用品を購入するよう国民に促し、中国との相互依存を助長するなど、一連の政策はアメリカを完全に間違った方向に導いています。

(*1)毛沢東が日中戦争を戦っていた1938年の演説で使った言葉。
(*2)中国・新疆ウイグル自治区からの輸入を原則禁じる内容。

 

次ページからのポイント

歴史学者 ビクター・ディビス・ハンソン氏インタビュー

安全保障専門家 ロバート・スパルディング氏インタビュー

HSU未来創造学部プロフェッサー 川上 高司氏インタビュー