《ニュース》

中国が2014年以降、海外在住の中国人1万人近くを強制的な手段によって帰国させていたことが、18日に公表された報告書によって明らかになりました。

《詳細》

スペインを拠点とする人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」は、「Involuntary Return(非自発的帰国)」と題したレポートの中で、中国が国外逃亡した人々を強制送還する「キツネ狩り」や国外に持ち出された資産を取り戻す「天網(スカイネット)」の実態について詳述しました。

中国の習近平国家主席が7年余り前にこの活動を開始して以来、強制送還されたのは9946人に上ります。中国が「自発的」な帰国だと発表している大半のケースで、標的にされた人々を強制帰国させるため、違法な手段が使われています。

その手段は、「中国国内にいる家族、友人などに圧力をかける」、「工作員などを派遣し、対象者に直接的に脅しをかける」、「海外にいる対象者を誘拐する」の3種類に大別できるといいます。報告書では、実際に起きた具体例と合わせて、それぞれの手段について詳述されています。

こうした活動は、オーストラリアやカナダ、アメリカを含む世界120カ国ですでに行われています。中国による「誘拐」に関しても、すでに世界で22の事例が報告されており、うち18は成功しているといいます。こうした被害報告は、あくまでも「氷山の一角」に過ぎないと指摘されています。

さらに同団体は各国に対して、中国人の「非自主的」な帰国を調査し阻止するように提言。「明らかな国際規範違反・国家主権侵害」に抗議するため、中国との犯罪人引渡条約を停止することも求めました。

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