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カナダと台湾両政府は、貿易関係を強化する方法として「外国投資協定」に関する協議を開始すると発表しました。カナダのメアリー・エング国際貿易相が9日、台湾の行政院(内閣)で通商交渉を担当するトウ振中・政務委員(無任所大臣に相当)と電話で会談した際に合意したとのことです。

また、カナダの世論調査で、回答者の77%が、中国との貿易や投資よりも「人権および法の支配」を重視していることが明らかになりました。

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カナダは欧米諸国と足並みを揃え、人道的観点から中国包囲網を築こうとしています。この度の台湾との貿易関係強化に向けた取り組みも、その一環と言えます。

ただ、すでに中国は第2位の貿易相手国で経済関係が深いこともあり、あまり強くは出られないという実情も見え隠れします。

合意が公表された同時期に、カナダの世論調査機関・アンガス・リード研究所(Angus Reid Institute)により、興味深い世論調査が発表されました(10日付)。

同研究所が昨年11月に2005人のカナダ人を対象に行った世論調査によると、回答者の77%が中国との貿易や投資よりも「人権および法の支配」を重視し、61%が中国との貿易取引が減ることを希望しているとのことです。

一方で、「中国に対抗した場合の経済的影響を懸念しているか」という質問に対しては、「強く同意する」「ある程度同意する」と答えた割合が58%に上っています。

一連の世論調査は、「中国の人権問題を強く懸念し、貿易額を減らしたいと思っているものの、現状の経済的依存度の高さを踏まえると、中国政府の意図に反する言動を発した場合に受ける経済的損失が大きい」という、率直な国民感情を反映していると言えるでしょう。

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