《ニュース》

米連邦捜査局(FBI)などの情報機関が、中国製ドローンを国民監視用として購入していたことが判明し、アメリカ保守層で議論の的となっています。

監視システムを専門とする世界有数の調査会社IPVM(本社は米ペンシルベニア州)が、情報機関の「調達記録」を入手し、米オンラインメディア・アクシオス(AXIOS)が9月22日、独占スクープとして報道しました。

《詳細》

報道によると、FBIが7月20日に19機のドローンを、機関名が不明である情報機関が26日に8機のドローンを、上海に拠点を置く中国企業DJIから購入していたとのことです。

ドローンを購入したユーザーは、DJI独自のソフトウェアをダウンロードせねばならず、さらには遠隔から監視できるマッピングデータベースを使って飛行させる必要があるといいます。

これだけでも十分、中国政府に情報が筒抜けになるであろうことはほぼ確実ですが、同社を警戒すべき理由はこれに留まりません。

というのもトランプ政権下の2017年時点で、米国土安全保障省が「(DJIは)アメリカの重大なインフラおよび連邦法執行機関の情報を中国政府に提供している」ということに「一定の確信を持っている」と述べており、実際、米内務省は19年にDJI製ドローンの使用を停止しているとのこと。

さらには昨年、新疆ウイグル自治区の監視システムに同社が技術を提供していたことも判明しており、その後米商務省によって「輸入ブラックリスト」に入れられています。言ってしまえば、中国政府がウイグル人を監視するのに使っている技術を、米情報機関が自国民の監視に活用するようなものでしょう。

加えて今年7月23日、まさに情報機関がドローンを購入した頃には、米国防総省がDJIの製品について、「国家安全保障を脅かす可能性がある」と見解を公表しているほどです。

特に情報機関は米国民の生活も監視していることもあり、なぜこれほど迂闊な行動が可能なのかと、米保守層から強い批判の声が上がっています。

米アジア専門家のゴードン・チャン氏は10月1日、FOXニュースのマリア・ バーティロモ氏の番組で、「これだけでも、FBI長官および情報機関トップを解任すべきであるという十分な理由となります」と厳しく指摘しています。

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