2021年11月号記事

幸福実現党 党首

釈量子の志士奮迅

第108回

釈党首

幸福実現党 党首

釈 量子

(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/

不動産最大手が破綻危機

中国幻想もう捨てよ


中国の不動産デベロッパー最大手である「中国恒大」が、破綻の危機に陥っています(9月中旬時点)。

8月31日、同社は「資金繰りが悪化した場合、債務不履行に陥る可能性がある」と自ら警告を出しました。負債総額は日本円で約33兆円。これは破綻したリーマン・ブラザーズの負債総額約60兆円の半分に相当します。海外からの投資額は2兆円程度ですが、同社が損失の埋め合わせのために株式売却に動くなどすれば、世界経済にも影響が出ることでしょう。

中国恒大は、すでに取引先への支払いができずに、複数のプロジェクトを中断。取引先の一部には、現金ではなく、マンションで支払っている「現物支給」状態です。9月13日には、満期が来た金融商品の資金の返還を求める人々が、深センにある「中国恒大」本社に押し掛ける様子がツイッターに上がっています。

政府は経済成長目標を達成するために、巨大な不動産開発を主導してきました。中国において不動産投資は、建設資材や家電などの関連産業を含めると国内総生産(GDP)の3割を占めるまでになりました。そうした中、不動産価格は庶民の手が届かないほど高騰します。中国では貧富の格差が大きな社会問題となっており、不動産はその象徴になっているのです。

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破綻危機に陥っている中国恒大。画像:hxdbzxy / Shutterstock.com


「共同富裕」は「共同貧困」へ

すると習近平政権は、不動産デベロッパーこそがマンション価格を吊り上げている張本人と見なし、昨年から見せしめ的に規制強化を始めたのです。

この規制強化は「三条紅線」と言われるもので、負債に上限を設ける3つのレッドラインを設定します。中国最大手にして最も負債の多い「中国恒大」はこれに引っかかり、その結果、新規でお金を借りることが難しくなって、手元の現金が急速に不足したわけです。

習氏は、格差是正のために住宅価格高騰を抑える政策を打ち出したわけですが、これは、毛沢東が掲げた「共同富裕」というスローガンに通じます。習氏は8月17日、経済問題に関する会議で「共同富裕は社会主義の本質的な要求だ」と宣言。貧富の格差を解消して、社会全体を豊かにするためとして、高所得層や企業の締め付けを強化し、「社会への還元」として「寄付の強要」も始めました。

中央政府の権威に盾突く大手IT企業・アリババに対しては、独占禁止法違反で約182億元(約3100億円)の罰金を科し、震え上がった動画投稿アプリ「TikTok」のバイトダンス創業者は、5億元(約85億円)を寄付すると発表しました。まさに「奪う愛」を基本教義とする悪の帝国の面目躍如です。

習氏が「共同富裕」を掲げたのは、来年秋の党大会で3期目入りを実現するためです。しかし、この動きを突き進めれば待っているのは、「共同富裕」ならぬ「共同貧困」にほかなりません。

神なき経済に未来なし

日本では、コロナ禍が収まれば、再び中国をアテにした経済復活を考えている政治家や経済人も多いでしょう。しかし、中国の不動産バブルは崩壊寸前であり、習氏の毛沢東回帰路線ではこれ以上の経済成長は望めないことを知るべきです。

さらには日本こそ、神なき国の経済の在り方に警鐘を鳴らさねばならないと思うのです。

日本は、資本主義の体現者である二宮尊徳翁以降、渋沢栄一や豊田佐吉、松下幸之助など、「経済と道徳の一致」によって経済的成功を成し遂げた偉人たちがキラ星の如く存在する国です。そして、信頼や公正さといった経済活動の基盤の根源は、信仰心にほかなりません。

一方、中国経済は汚職まみれであり、ウイグルでの奴隷労働、香港民主派の弾圧などの監視資本主義、収奪した臓器ビジネスなど、決して目を瞑ることのできない闇につながるものです。日本の経済人は、こうした所業に義憤を覚えなければ、嘘です。

日本政府も、中国のバブル崩壊に備え、「脱中国」「製造業の国内回帰」へ舵を切らなければなりません。それは、ヒットラーの再来である習近平氏の覇権主義を押しとどめ、世界の富の流れを直くすることにもつながるはずです。

「神仏なき資本主義の発展には意味がない」「信仰心なき国家は繁栄するに値しない」という言葉の方向に、未来は開かれていくはずです。