2021年10月号記事

Divine Economics

サプライサイド経済学の父 ラッファー博士

なぜ「健全な貨幣」が重要か?
政府の支配から貨幣を守れ(前編)

Part 15

サプライサイド経済学では、「減税」「自由貿易」とともに、「健全な貨幣」を重視する。

博士の目には、昨今の金融緩和政策はどう映るのか。あるべき金融政策について聞いた。

(聞き手 長華子)


トランプ大統領の経済顧問

アーサー・B.ラッファー

(プロフィール)
1940年生まれ。イエール大学を卒業後、スタンフォード大学で博士号を取得。経済調査とコンサルティングのラッファー・アソシエーション会長。サプライサイド経済学の父。レーガノミクス、トランポノミクスを導いた。大統領選挙中よりトランプ氏の経済政策顧問を務める。著書に『増税が国を滅ぼす』(日経BP社)、『トランポノミクス』(幸福の科学出版)などがある。

──アメリカでは政府支出が増えると共に、消費者物価が上昇しています。それにもかかわらず、バイデン米大統領は、数兆ドルの支出が「インフレを抑制する、抑制する、抑制する」と3度も繰り返していました。大統領の発言をどう受けとめるべきでしょうか。

ラッファー博士(以下、ラ): ご質問は私の初期のキャリアを思い出させてくれますね。それを現代の文脈でお話しできて嬉しく思います。というのも人間も政府も、そう変わらないからです。

まず「政府は常にあなたをコントロールしたい」「関与するいかなる問題も統制したい」と思っています。これは無限に近いほど長い人類史の中での共通の特徴です。

私たちが真剣に取り組まなければならないのは、政府の支配が必要以上に及ばないようにして、政府にコントロールされる以外の生活の領域が残されるよう確保することです。

 

次ページからのポイント

古代から政府はお金を支配下に置いてきた

バラマキは経済を殺してしまう

政府からお金を管理する力を奪い取れ