2021年10月号記事
ニッポンの新常識
軍事学入門 15
元自衛隊幹部の体験!
中国の公安部にマークされた話
社会の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」について専門家の
リレーインタビューをお届けする。
山下 裕貴
昨年出版した小説『オペレーション雷撃』の取材の一環で、私は中国に2度旅行しました。すでに退官した身でしたが、陸上自衛隊の幕僚副長などの重職を務めていたことから、念のため陸上幕僚監部の後輩に確認したところ、「中国の国内法に触れなければ大丈夫。行動確認は行われるかもしれない」との返答でした。「国内法は広すぎて、具体的に何?」とは思ったものの、私は家族や友人とともに、2016年に中国の大連と北京に向かいました。
すると大連の入国審査で早速異変が。他の乗客とは異なり、自分だけが入念に顔写真を撮影されます。そして旅順にある二百三高地の展望台に行くと、黒い服を着た男性がずっとこちらを見てきたので、監視されているという印象を受けました。