《ニュース》

環境省と金融庁は2021年度より、金融機関が中小企業も含めた投融資先の「温暖化ガス」排出量を容易に測定できるモデルづくりを始めます。14日付日経新聞が報じました。

《詳細》

日経新聞記事では「金融機関が測定したデータを通じて取引先の排出削減を促すことで、遅れがちだった中小企業の脱炭素の取り組みを加速させる」「金融機関が投融資先の排出量を把握できれば、事業転換などを助言して脱炭素へと誘導する効果が期待できる」としています。

これまでも大手邦銀などを中心に、企業がどれだけ「温暖化ガス」を排出しているかを測定する基準づくりは始められていました。

三菱UFJフィナンシャル・グループは東京大学と共同研究を開始。みずほフィナンシャルグループも、取引先企業の排出量を算定する国際基準づくりである国際組織「PCAF」に加盟しました。同組織には三菱UFJも続いて加盟することを決めたと報じられています。

こうした動きの中で、「ただ、基準を採用するかは各企業の判断で、共通ルールとして普及するには、国などの関与が必要となる可能性もある」(6月17日付日経電子版)との声もありました。そこでこのほど、政府がとりまとめて測定モデルづくりに取り掛かる形となり、モデル作成事業への参加を希望する金融機関の公募をはじめたとのことです。

従来、企業の排出量は電力消費量などから推計されることがほとんどでした。しかし今回の取り組みは、電力や運送といった業種ごとに「温暖化ガス」をどれだけ排出しているかを示す数値の平均値に、企業ごとのエネルギー消費量や物流量の推計値を掛け合わせることで、より厳密な値を出すことを想定。さらには、同業・同規模企業の排出データを参考にすることで、大企業のみならず、中小企業の排出量をも算出できるとしています。

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