2021年9月号記事
ニッポンの新常識
軍事学入門 14
近未来兵器「レールガン」とは何か
社会の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」について専門家のリレーインタビューをお届けする。
山下 裕貴

アメリカは現在、「第三のオフセット(相殺)戦略」によって、中国とロシアの軍事力を圧倒しようとしています。
この考え方は、敵の持つ能力とは異なる分野、つまり先進技術の開発など別のアプローチをとることで非対称手段を獲得し、敵の能力を相殺しようというものです。
例えば冷戦期では、旧ソ連陣営のワルシャワ条約機構軍の機甲戦力が、NATO(北大西洋条約機構)軍を大きく上回っており、ドイツのフルダ峡谷を抜けば、欧州を蹂躙する恐れがありました。兵力で劣るNATO軍は、ワルシャワ条約機構軍を圧倒するために、アメリカの核兵器による大量報復能力をもって、抑止しました。