《ニュース》

政府がコロナ禍で苦しむ中小企業を支えるため、借入金の負担を軽減する案を検討しています。裁判所を介さずに、金融機関同士で債務の減免を話し合う「私的整理」の拡充に向けて、近く策定する成長戦略に盛り込む予定です。

《詳細》

新型コロナウィルスの影響により、無利子・無担保などの融資が増えた結果、昨年末の企業の債務残高は、前年から52兆円増の622兆5000億円に拡大し、債務が急増した企業も増加しました。

多くの事業者は、来年にも元本の返済を開始するため、資金繰りへの懸念が広がっています。中小企業庁によると、今年1月までに実質無利子・無担保の融資を受けた中小企業や個人事業主のうち、元本返済の据え置き期間を「1年以内」に設定したのは、政府系金融機関の日本政策金融公庫で66%、民間の金融機関で57%に上るといいます。

これを受け政府は、融資する金融機関同士の協議で「私的整理」を決めやすくし、事業の継続や企業価値への影響を少なくするつもりです。しかし大手銀行の幹部は、18日付朝日新聞に対し、「過剰債務の対策とともにコスト構造の見直しや事業転換などもやらなければ新たな『徳政令』になりかねない。金融秩序にストレスがかかれば、長期的には副作用もある」と苦言を呈しています。

仮に私的整理を行っても、再生する企業は少ないという実情もあるなど、厳しい経営環境は続く見通しです。

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