《ニュース》
憲法改正の手続きを定める改正国民投票法が11日、成立しました。それに伴い、改憲の具体的中身に関する議論が始まろうとしており、なかでも新型コロナウィルスの流行を背景に、「緊急事態条項」の創設案が注目を浴びています。
《詳細》
法案は2018年の安倍政権下で提出されました。以来、立憲民主党など野党が審議を拒み続けてきましたが、このほど3年越しに成立した形です。
同法は、改憲の是非を問う国民投票の利便性を向上させ、より多くの国民が参加しやすいものにする主旨。今までは、最寄りの学校など指定の場所でしか投票できませんでしたが、駅や大型商業施設に「共通投票所」を導入できるようになります。
成立を受けて自民党などは、改憲に向けた具体的な議論に意欲を示しています。
自民党は従来、改憲内容として、
- 憲法9条改正 (但し、「自衛隊」について明記する「加憲」)
- 緊急事態条項
- 参院の合区解消
- 教育の充実
の4つを優先項目としてきました。
とはいえ昨今、新型コロナの流行によって、最初の「9条」改正よりも、「緊急事態条項」への注目が集まっています。「コロナ蔓延防止のため、自粛"要請"では手ぬるく、大幅な私権制限も辞さない体制が必要」といった見方が出てきているためです。
なお、コロナを背景に「緊急事態条項」から入れば、より広い合意を得やすく、改憲の実績がつくりやすいとの目論見もあります。
自民党の衛藤征士郎・憲法改正推進本部長は産経新聞(12日付朝刊)のインタビューに対し、「緊急事態条項」に感染症に関する記述を加えた党改憲原案をまとめ、それを公約として選挙戦に臨むべきだとの見解を示しています。