《本記事のポイント》

  • 中国の人権弾圧はユダヤ人大虐殺を超える水準まで来ている
  • 公明党は中国の人権弾圧をかばってきた親中政党
  • 自民党は一体何をやっているのだ?


立憲民主党は10日、中国・新疆ウイグル自治区や香港で行われている人権侵害行為を非難する国会決議案を了承した。さらに国民民主党の玉木雄一郎代表も同日の記者会見で、同決議案を了承したことを明らかにしている。

決議案では、ウイグルや香港をはじめ、チベット、南モンゴル、ミャンマーでの人権侵害について「国際社会が納得するような形で直ちに中止するよう、強く求める」などと明記。日本が加盟していない「ジェノサイド条約」(集団殺害罪の防止および処罰に関する条約)の批准に向けた法整備の一環と見られる。

すでに一線を越えている中国の人権弾圧の実態

中国による人権弾圧は決して見過ごせるレベルではないことは、本誌・本欄でさまざまに指摘しているとおりだ。香港では国家安全維持法が施行されて以来、取り締まりが一層厳格化され、多くの民主活動家が逮捕・拘束された。また、2019年の1年間で、6584件もの不審死も報告されている。(2021年7月号「いよいよ始まったウイグル化する香港」を参照)

ウイグルに至っては、海外に住む家族と電話しただけでも罪に問われ、強制収容される。収容先では鞭やこん棒で殴りつけられ、さらに逆さ吊りされるなど、目も当てられないほどの仕打ちが絶え間なく行われ、どんなに少なく見積もっても100万人ものウイグル人が惨殺されていることが指摘されている。事態は、あのナチス・ドイツが行ったユダヤ人大虐殺よりも深刻化していることは明らかだ(2021年6月号「ウイグルは「アウシュビッツ」を超えた」を参照)。

日本がそうした中国の人権弾圧を批判できていない中、今回の決議案に対して、立憲・国民が明確な姿勢を示したことは評価されるべきだろう。

中国の人権弾圧を庇ってきた親中政党「公明党」

一方で、与党である自民・公明両党は、同決議案への態度を明らかにしていない。むしろ公明党に至っては、中国の人権弾圧を批判することに対して否定的な立場を示している。

公明党の山口那津男代表は3月末の記者会見で「(中国当局の)人権侵害を根拠を持って認定できるという基礎がなければ、いたずらに外交問題を招きかねない」とし、人権侵害から他国に制裁できるようにする法整備についても「日本にとってはいかがなものか。慎重に検討すべきと考える」と発言。まるで中国への制裁が行われないように立ち回っているかのようだ。

そもそも公明党は、1000万人以上が粛清されたとも言われる中国の文化大革命の際に、「日中国交回復」を党是に掲げ、中国共産党とのパイプを構築。天安門事件の際には、率先して天皇訪中や日本が経済制裁を解く流れをつくっている。

自民党内では、中国の人権弾圧を問題視し、制裁もできる法整備を検討する動きもあるが、未だ親中派議員におさえ込まれて足踏み状態。しかも、公明党という親中政党と連立を組んでいては、そうした法整備が実現しても、何も効力を持たないように骨抜きにされるのが関の山だろう。

欧米では、企業の原材料や部品などの供給網がウイグルの強制労働などに関与していないかを調査する諮問機関が発足するなど、中国の人権弾圧は単なる政治問題ではなくなっている。日本は一刻も早く、欧米諸国と足並みをそろえ、中国への制裁を念頭にした法整備を進めるべきだ。

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