新型コロナウィルスの感染拡大を受け、3回目の緊急事態宣言が東京、大阪、京都、兵庫に対し25日に発令された。対象となった4都府県では商業施設や百貨店は休業を余儀なくされている。特に、大手の映画館や舞台、ライブの公演の中止が相次いでいるエンタメ業界は、大打撃を受けている。

そんな中、東京都内にある寄席は、営業継続の「覚悟」を見せた。

コロナ禍でも営業を続けるのは寄席の矜持

上野・鈴本演芸場、新宿・末広亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場の寄席4軒と、落語協会、落語芸術協会は24日、「大衆娯楽である寄席は社会生活の維持に必要なものだ」と判断し、十分な感染症対策を講じた上で営業を継続することを発表した。

この発表に対して、「応援しています」「寄席組合さんの心意気、スカッとします」など、ネット上や多くのメディアに賛同の声が多数挙がった。その中には、「寄席は戦争中も営業していたので、今回の状況でも営業するのは代々親から伝わってきた寄席の矜持」「別に、儲けようとしているんじゃない。政府や都は正業を奪わないで」と訴える落語家たちのホンネも寄せられた。

コロナで客足が遠のき、寄席の収益が減少しているという経営的な理由はもちろんのこと、決断の背景にあるのはそれだけではないようだ。十分な根拠がないまま行われている政府や都の過剰な感染症対策は、人々の生活を壊し始めている。「社会生活を行う上で必要不可欠」と断言した寄席組合の発表には、生活に"笑い"を届けたいという芸人の意地があったのだろう。

抵抗権は国民に認められた正統な権利

一方で、西村康稔経済再生担当相は26日の記者会見で、変異株の脅威を理由に「(寄席は)支援策を活用して休業要請に応じてほしい」とし、「感染防止対策を徹底していても、休業をお願いしなくてはいけない事態だ」と述べる。

ただ協力金は1日2万円と微々たるもので、それだけで従業員を多く抱える企業がやっていけるほど甘くない。だからといって、全ての損害を政府が請け負えば国家の財政破綻は必定。変異株の流行で、いつまでコロナ禍が続くか分からないからこそ、自らの生活は自らで守るという姿勢が必要となっている。

さらに、本誌2020年10月号で特集したように、国民一人ひとりには、個人の自由を侵害してくる政府に対しては抵抗する権利がある。それは、政治思想家のジョン・ロックの社会契約論でも認められた正統な権利であり、無秩序に暴徒化するのとは全くもって異なるものだ。

感染症対策と称して何事も制限する風潮には、相当の注意が必要。だからこそ、勇気をもって、営業継続を発表した寄席の判断に声援を送りたい。

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