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巨大コンテナ船の事故によりスエズ運河の運航が止まったことについて、米ランド研究所のシニアエンジニア、スコット・サビッツ氏は、海上交通の脆弱性が露わになったとし、意図的に通航が封鎖される可能性について想定し、対応すべきであると、30日付米軍事専門ニュースサイト「ディフェンス・ワン」の寄稿で指摘しました。

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サビッツ氏は、「(今回の事件が示唆する)『閉塞船』と呼ばれる戦術には、長い歴史がある。イギリス軍は第一次、第二次の両大戦でこれを使い、アメリカの南北戦争でも北軍が採用した。それ以前の採用例は1000年前に記録されている。しかし、この古代の海軍戦術は、21世紀になっても非常に重要な意味を持っている。2014年にロシア軍が、この作戦を使ってウクライナ海軍の大半をクリミアの港に閉じ込めた。老朽船2隻を沈め、港湾の出口を塞いだことで、ウクライナ艦艇は外海に出られず、陸上から捕獲されることを可能にしたのだ」と述べました。

巨大な民間船舶の通行量が多い水路で、閉塞作戦に対応することは困難です。無人船舶やサイバー攻撃などを組み合わせた作戦であれば、さらに難しくなるといいます。サビッツ氏は、陸海軍は海上輸送に依存しているため、沿岸警備隊や民間部門、他国との連携を深め、障害物の早期除去能力を実現すべきであるとの趣旨を論じています。

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