菅政権・民主党が進める「増税」議論に対し、「消費の一層の冷え込みなどをもたらし、国家が潰れてしまいかねない」と釘を刺す社説(主張)が、22日付の産経新聞に掲載された。とても大切な論点なので以下に要約する。

・いま消費税引き上げに踏み切れば、大震災で深手を負った日本経済に消費の一層の冷え込みや成長率の低下などをもたらし、国家が潰れてしまいかねない。首相の私的諮問機関の「復興構想会議」が提起すべきは増税ではなく、東北復興をテコに日本が新たな成長軌道を描く青写真である。

・子ども手当、農家の戸別所得補償、高校の授業料無償化、高速道路無料化のいわゆる「4K」政策を撤回すれば合計で2.8兆円の財源が生まれる。(※弊誌は、基本的に高速道路無料化を推進する立場だが、政府・民主党の手法には与しない)

・最大のテーマは、日本経済を成長軌道に乗せる戦略の実行。強みである輸出産業の国際競争力を高めるためにも、予定されている法人税減税は実行すべき。輸出産業の稼ぎを国内の雇用や投資に回し、経済成長を促して税収増を図る。

・被災地を特区にして、法人税免除の優遇措置などを図れば、進出希望企業が集まり、農地法などの規制を緩和して農地の規模拡大や企業の農業参入を認めれば、国際競争力が高まる。

・上記の手段を尽くしても復興財源が足りない場合は、被災地の復興費用に充てる「復興国債」を発行し、多くの国民に買ってもらい、連帯の証しとして投資する。経済が拡大し、税収が増えれば償還は可能。日銀が市場に潤沢に資金供給する量的緩和もさらに進めるべき。

通常、同紙の社説は2面に掲載されているが、今回は「いま増税 とんでもない」という見出しで1面に掲載している。一部報道が「増税は避けられない」と菅政権に同ずるなか、同紙の気概が伝わってくる。(格)

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