2020年12月号記事

ニッポンの新常識 軍事学入門 5

宇宙はもはや戦場の時代

社会の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」について、
専門家のリレーインタビューをお届けする。


未来工学研究所研究参与

西山 淳一

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(にしやま・じゅんいち)1946年、北海道生まれ。北海道大学大学院工学研究科を修了後、三菱重工業に入社。航空宇宙技術の設計開発などに従事し、航空宇宙事業本部副事業本部長、事業本部顧問を歴任。2012年から現職。

人間は古来、「高地から戦況を把握し、敵の動向を知りたい」という欲求を持っています。それが宇宙に飛び出す原動力になりました。宇宙からであれば、敵の国境を侵すことなく、敵情を知ることができます。

米ソ冷戦中は、「宇宙では戦争をしない」という暗黙の了解の下、米ソのパワーは均衡し、平和が保たれました。しかしソ連崩壊後、台頭する中国が宇宙の平和を脅かしています。「現代の戦争は人工衛星の無力化から始まる」と言われています。GPSの位置情報などを消失させれば、米軍のハイテク兵器が機能しなくなる恐れがあります。

トランプ米政権はその現実を直視し、「宇宙は戦場になった」との認識に改め、宇宙軍を創設するなど、宇宙の安全保障体制強化に舵を切っています。この流れの中で今年5月、日本の航空自衛隊内に「宇宙作戦隊」が創設されました。