2020年11月号記事

Divine Economics

サプライサイド経済学の父 ラッファー博士

予言的中! 減税運動を勝利に導く

Part 04

1970年代後半のアメリカで、ボストン茶会事件に匹敵するような納税者による大反乱が起きた。
それを助けたラッファー博士は一躍世に出る。それはサプライサイド革命の序章となった。

(聞き手 長華子)

トランプ大統領の経済顧問

アーサー・B.ラッファー

プロフィール

1940年生まれ。イエール大学を卒業後、スタンフォード大学で博士号を取得。経済調査とコンサルティングのラッファー・アソシエーション会長。サプライサイド経済学の父。レーガノミクス、トランポノミクスを導いた。大統領選挙中よりトランプ氏の経済政策顧問を務める。著書に『増税が国を滅ぼす』(日経BP社)、『トランポノミクス』(幸福の科学出版)などがある。

──前回は大恐慌時代のアメリカについてお話を伺いました。1930年代と同様に、70年代も不況に喘いでいたといいます。

ラッファー氏(以下、ラ): 当時、ジョンソン大統領は「偉大な社会」構想に基づいて、福祉を拡大していました。それに伴い、二桁台のインフレとなり、全米各地が不況に陥っていました。

カリフォルニア州も例外ではありません。増え続ける税金に対して、住民の不満が爆発。固定資産税の評価額に上限がなかったため、数千人の住民が家を差し押さえられました。

カリフォルニアでは重税に耐えかねた市民らが、1976年に州憲法の改正を目指す住民提案13号を掲げて「大減税運動」を起こします。しかし多くの経済学者は、減税すると財政赤字になり、学校や図書館、刑務所が閉鎖される。州の公共サービスが行き届かなくなると、猛反対したのです。

次ページからのポイント

納税者による減税運動が起こった

減税をしても税収は減らない

減税により失業率も低下し税制改革が結実