日本有数のチャイナ・ウォッチャーである評論家・宮崎正弘氏が、最新刊『「コロナ以後」中国は最終戦争を仕掛けて自滅する』で、米中冷戦の今後の展開を予測している。
宮崎氏は、この本の冒頭で、コロナ以後の世界の大きな動向について、「第一はグローバリズムの大後退が起こるだろう」「第二は、各国のナショナリズムが復活する」「第三は、『中国排斥』が世界的規模に広がる」と分析している。
そして、こうした趨勢の中で、中国で今後に起こりうる事態を、このように記している。
「中国元凶のコロナウィルス災禍に対し、いま欧米の非難は賠償要求の声となっている。中国共産党がもっとも恐れている次の事態は何か。それは次の三つである。
- (1) 在米資産凍結
- (2) 党の崩壊(情報公開、政治改革)
- (3) 暴動頻発から民衆の叛乱
それゆえ、これらの矛盾をすり替えるため中国は戦争を始める危険性が高い」
中国問題の専門家として長年、活躍してきた宮崎氏ならではの大胆な予想だ。
米中対立は事実上の戦争状態
たしかに、コロナ・パンデミックの非常事態を受けて、米中対立は緊迫の度合いを高めている。トランプ大統領は、5月14日のFOXビジネス・ニュースのインタビューで、「中国には非常に失望している」「すべての関係を遮断することもできる」と述べ、中国との断交の可能性を示唆した。
2019年12月に米中貿易交渉が、第一段階で妥結した経緯があるとはいえ、今後の米中関係は、まったく予断を許さない展開となっている。
宮崎氏は、「熱い戦争には至らなくても、現在の米中対立は事実上の戦争状態である」としている。つまり、関税をめぐる「貿易戦争」は、ファーウェイ排除にみられるハイテクの争奪をめぐる「技術戦争」に移行している。
そして、「サイバー戦争」も見えないところで進行中とのことだ。さらには、「次に中国の在米資産の凍結といった金融戦争となり、いずれ最終決着を見る」との興味深い指摘をしている。
米中関係の動向については、大川隆法・幸福の科学総裁の著書『P.F.ドラッカー「未来社会の指針を語る」』(2020年5月、幸福の科学出版)でも、「欧米で中国人の資産を差し押さえることも可能」「中国の勇み足を誘ったアメリカの戦略があった?」「"孫子"がアメリカ大統領なら、6月には中国を攻撃する」などのテーマについて類似の話題が取り上げられている。
コロナ・パンデミックで激変する国際情勢の中で、米中冷戦の動向は、もっとも重大な転換点を迎えようとしている。
(幸福の科学 国際政治局長 藤井幹久)
【関連書籍】
大川隆法著 幸福の科学出版
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