写真:Shi Yali / Shutterstock.com

蔡英文政権下の台湾経済が絶好調だ。

台湾の行政院によると、2019年10~12月の実質GDP成長率は前年同期比で3.38%だった。成長率3%台の達成は6年四半期ぶりとなる。

米中貿易戦争のあおりを受ける国も少なくない中、台湾の経済成長を大きく後押ししたのは、生産拠点を中国から台湾へ回帰する企業への優遇政策だ。

米中貿易戦争を逆手に取る蔡英文政権

アメリカによる制裁関税等で財政難に陥った中国の各地方政府は、中国国内の台湾企業への優遇政策を縮小。人件費の上昇によるコストも増大し、さらに税金や寄付金の取り立てを強化するなど、台湾企業への負担は大きくなっていた。

蔡英文政権はこの状況を逆手にとった。台湾企業が中国から撤退しやすいよう、台湾での土地取得や外国人労働者の雇用に関する規制を緩和。台湾へ戻る企業への融資の際には金利を0.5%引き下げ、初年度と2年目における法人税の軽減などを実施した。

その効果は劇的で、高雄市西部のある工業団地では余っている土地がなくなり、団地内のテニスコート、女子寮、消防署までも取り壊され、工場に改造されているという。またアップルなどIT大手の機器生産を担う企業も、生産を台湾に回帰する動きが活発になった。

2019年10~12月は、台湾企業の設備投資をはじめとした資本形成が前年比で10.72%増加し、予想を6ポイント強上回った。同年、台湾に呼び戻す投資の申請総額は2.6兆円規模にのぼった。

台湾行政院によると、今年2020年の年間GDP成長率予測は前年比の2.72%と、昨年並の安定成長となる見通しだ。

自国ファーストの経済成長

アメリカも似た方法で国内経済を回復させている。海外から生産拠点を戻すときに、企業への法人税を軽減するレパトリエーション減税だ。トランプ大統領が打ち出す経済政策「トランポノミクス」の一環で実施され、企業の納税額の増加、雇用拡大の成果を生んでいる。

安倍晋三首相は昨年12月に中国・北京を訪問し、習近平中国国家主席と「日中新時代」を切り拓くことを確認した。しかし、中国はすでにバブル経済が崩壊しているとも言われる。日本はこのまま中国依存の経済を続けていてはいけない。

いまの日本に必要なのは「ジャパン・ファースト」の経済成長だ。大規模な減税で経済を活発化させ、規制緩和によって事業・研究開発をしやすい環境を整えることで海外の日本企業を国内に呼び戻すことができる。中国の不況を逆手にとって発展する台湾に見倣いたい。

(幸福実現党 久村晃司)

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