《本記事のポイント》

  • 日中首脳会談で「日中新時代」を目指すことを確認
  • 日本が習近平国家主席を国賓待遇する理由とは
  • 日本が備えるべき中国リスクとは

安倍晋三首相は23日、中国・北京を訪問し、習近平国家主席と会談した。

首相は、「私たちの手で日中関係を次なる高みに引き上げたい」と意欲を示し、習氏と「日中新時代」の実現を目指すことを確認。また、北朝鮮の完全な非核化に向けて連携することでも一致した。

習氏は2020年4月、国賓として日本を訪問する。そのため両首脳は、この来日の成功に向けて協力を強化する構えだ。

ただ、習氏を国賓待遇で迎えるにあたり、安倍首相は会談で、習氏に対処を求めた問題もあった。

例えば、沖縄・尖閣諸島周辺の接続水域で確認された中国公船は、今年1月~12月23日で延べ1077隻と過去最高。東シナ海での安定のために、水域への侵入の自制を求めた。

また、中国での邦人の拘束も相次いでいることから、早期帰国の実現や、情報提供などの対応を求めた。

さらに安倍首相は、中国共産党の独裁体制にも懸念を示した。

中国が香港への抑圧を強めていることに対しては、「一国二制度のもと、自由で開かれた香港が繁栄していくことが重要」と強調。

また、ウイグル人をはじめとする、少数民族への人権弾圧の問題について、国際社会に「透明性をもった説明」をするよう促した。

なぜ国賓待遇なのか

中国がこうした国際問題を抱えているにもかかわらず、安倍政権は、習氏を国賓待遇で迎えようとしている。これに対し、日本国内では批判の声も上がっている。

しかし、それでも安倍首相が習氏を国賓待遇しようとするのは、日本経済を浮上させるために、中国経済に活路を見出しているからだろう。

すでに日本経済は、「中国頼み」になっている側面がある。例えば、トヨタ自動車は、中国での1~9月の新車販売台数(乗用車)で、2位に浮上。中国での売り上げを伸ばしている。また、訪日中国人向けのインバウンド需要も高まっており、日本の観光業は中国マネーによって潤っている状態だ。

安倍首相は2012年に首相に再任されると、「アベノミクス」と呼ばれる経済政策で、日本経済の景気を良くしようとしてきた。しかし、消費増税などにより、国内消費は落ち込み、景気はむしろ悪化。デフレから抜け出せず、アベノミクスは行き詰まりを見せている。

さらには、時期の問題もあるだろう。

日本は2020年夏に東京オリンピックを控えている上に、安倍首相は2020年8月24日に、連続在任日数が2799日となり、大叔父の佐藤栄作・元首相を超えて歴代最長になる。そのため、「中国と事を荒立てたくない」という思惑も見え隠れする。

中国経済の崩壊に備える

しかし、このまま中国に経済的に依存し続けると、日本経済は近い将来、危険にさらされるかもしれない。

大川隆法・幸福の科学総裁は12月17日、エル・カンターレ祭大講演会「新しき繁栄の時代へ」において、日本がこれまで、中国での民主主義の問題について沈黙し続けてきたことを指摘した上で、「 中国の経済の崩壊は、近づいています。そして、それはおそらく、日本にも大きな影響を与えることになると思います 」と言及。

何も手を打たなければ、中国不況に端を発して、日本のメガバンクや地方銀行が相次いで潰れる危険性があると指摘した。

中国はこれまで、貿易で稼ぎ、軍備を拡大。巨大経済圏構想「一帯一路」で、札束外交をしてきた。しかし、それを問題視したアメリカのトランプ大統領は、中国に貿易戦争を仕掛けている。その結果、中国経済は大きなダメージを受けている。

そうした中で、日本は中国経済にすり寄ろうとしているわけだが、このままでは中国と共倒れしてしまう可能性もある。日本は、中国経済に頼らなくても繁栄していける体制を築く必要がある。

(飯田知世)

【関連書籍】

『鋼鉄の法』

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大川隆法著 幸福の科学出版

『富の創造法』

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