厚生労働省は25日、経済連携協定(EPA)に基づきインドネシアとフィリピンから来日した看護師候補者のうち、新たに16人が国家試験に合格したと発表した。昨年度の3人から増えたものの、合格率はわずか4%にすぎず、日本人を含む全体の合格率91.8%を大きく下回った。

彼らは病院で研修を受けながら国家試験の勉強をしているが、日本語の研修体制が十分整っていないことや、外国人には医療の専門用語は難しいなどの指摘がたびたびなされている。EPAが定める滞在期間は原則3年で、その間に合格できなければ帰国することになる。現在までに約450人の看護師候補者が来日しているが、このまま彼らの大半を帰国させることは、医療界だけではなく日本経済全体にとってもマイナスになりはしないか。

本誌で何度も提言したように、今後のさらなる少子・高齢化は、日本の経済や社会保障などに致命的な問題を与えかねない。国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、2030年以降の日本の生産年齢人口は1970年前後の水準である7千万人を下回る見通しだ。こうした流れにおいて、移民政策は重要な選択肢の一つである。先進国の多くは国力を維持するために移民政策を推進している。オランダなどのヨーロッパ諸国で移民が大きな社会問題となっているのは事実だが、日本語教育などさまざまな対策を講じて、日本も移民受け入れを検討するべきだ。

特に、今回の看護師候補者は、本国で看護師資格を持っている人たちである。教育水準の高い人たちが日本で働きたいと言って来ているのだ。彼らを受け入れる体制さえ積極的に作り出せないようでは、今後の移民受け入れは困難なものとなるだろう。(雅)

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