ポルトガルが救済を要請する可能性が強まる中、ギリシャ危機に次ぐ新たなユーロ危機を防ぐべく、IMFとEUが動き始めた。

IMFは早ければ週明けにも緊急融資制度「新規借り入れ取り決め(NAB)」を発動する見込みで、拠出国は5830億ドル規模の融資枠からの利用について合意を目指している。25日に閉幕したEU首脳会議も、ポルトガルがEUに支援を要請する可能性について議論したと見られ、支援額は750億ユーロとの見方が浮上。同時に2013年以降の総額800億ユーロの欧州安定化メカニズム(ESM)の枠組みについても合意し、ユーロ危機再発を止める構えを見せている。

このようにIMFとEUが融資の意思を早期に示すことで、最悪の危機は防げるかもしれないが、相次ぐ財政不安でEUの信用低下は避けられないだろう。特にドイツは新たな負担の増加に警戒を見せており、メルケル首相の要請でESMへの2013年の払込資本は当初予定の400億ユーロから160億ユーロに減額された。

またEU首脳会議は日本との経済連携協定(EPA)締結に向けた交渉開始を前向きに検討することで一致し、大震災で被害を受けた日本を支援する意向を示してもいる。これを機に両者の交易を拡大したいところではあるが、共に昨今のような政治経済状況では先行きに不安が残る。日本・欧州共に、財政不安と緊縮財政の負の連鎖を断ち切って経済成長を目指し、「弱者連合」ではなく共に力強く発展していく未来を築いていきたいものだ。(由)

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